2022年最初のブログは
Canonの防振双眼鏡10×30ISの話
ねずみは正直、この双眼鏡を
入手すべきか迷っていた。
ずっと前からその性能を
確かめてみたいと思っていたのだけど
もしかしたらその圧倒的な性能に
魅了されてしまって
ビンテージ双眼鏡熱が冷めてしまう
のでは無いかと不安だったのだ。
(値段を見て躊躇しただけです)
ネット上の評判を見ても
防振の威力は絶賛されていて
単純な解像度ではツァイスや
スワロフスキーのハイエンドモデルを
超えるほど優れているらしい。
これは覗いてみないわけにいかない。
しかし、、いざ買うとなると
特に決まった観察対象を持たない
ねずみが新品を購入するのも勿体ないし
なにより
ブログネタとして面白く無いので
いつものように中古のジャンク品を
漁ってみることにした。
んで入手したのがこちら。
ジャンクとはいえ1万6千円もした!
パピリオが新品で買えますね。
気になる状態は・・・
外観は文句なし。
電池の液漏れ跡があるけど
通電は問題無し。
光学系は
左側に強度の曇りあり!
視軸ズレもなかなか。
鉄塔の寸法から推定すると
上下ズレが約5分
左右ズレが内方約7分
少なくともJIS規格は外れてるし
像の倒れもあるように見える。
ただ、落下させた形跡も無いので
これは製造時からのズレなのかも
知れないなぁ〜。
この鉄塔を使ったズレの測り方は
鉄塔の記事参照↓
http://mouse830.livedoor.blog/archives/8753503.html
とまぁ
想像通りのジャンクな状態だった。
中古市場では2〜4万円くらいで
取引されているみたいだけど、
こういう状態のものが
沢山流通してるかと思うと
普通は手を出すべきじゃないと思う。
メーカー整備に出したら修理代
3万円くらいはかかると思うので
新品が買えてしまう。
では、ねずみはどうするかというと
もちろん自分で整備を試みますよ!
かなり実験的にやってますので
決して真似しないでくださいね。
いきなりカバーを開けたところ。
電子部品がズラリと並ぶ!
金属とプラスチックが
適材適所で組み合わされた構造で
この辺はカメラで培った技術が
生かされているんだろうな〜
こちらが心臓部、手ブレ補正装置
バリアングルプリズムのユニット
ガラス板2枚で透明な液体を挟んだ
構造になってるらしい
詳細はメーカーのHP参照。
カメラとは違って電子部品だけが
ユニット化されていて
工場での組み付けも簡単そう。
防振機能を取り外した
ただの双眼鏡の状態がこちら。
なかなか衝撃的な姿!!
防振装置が無いと
まるで荷台を外したトラックみたいに
スカスカになってしまう。
さらにメインフレームだけにしてみる。
プレス製の板金2枚を重ねて
スライドさせるだけの超シンプル構造!
全ての部品をこのフレームで
支持している。
前回のNikonミクロンの記事で
「基本を磨き上げた良い双眼鏡だ」
って話を書いたのだけど
ねずみが思ってた良い双眼鏡って、
軽量の金属を極薄に鋳造した鏡体に
内部は精密に機械加工してあって
ムラのない艶消し黒塗装仕上げ。
光路とプリズムがギリギリの隙を
保って巧妙に配置されていて
外側は手にしっくり馴染む曲線
上質なグッタペルカが貼ってあり・・・
みたいな。
とにかく鏡体自体にいろんな機能が
詰め込まれていて、それらを
絶妙な設計と上質な仕上げで
成立させてるイメージだった。
ところがこの10×30ISは
そんな固定概念をあっさり覆す
簡素なフレームで出来ている。
確かに、
考えてみれば遮光だって外装だって
全体を覆うプラスチックのカバーを
着ければ問題ないし
レンズやプリズムも鏡体に
組み込まなくたってユニット化した
ものをくっ付ければ良い。
そうなると
左右の接眼レンズと対物レンズが
視軸を保ったまま前後に動いて
ピント調整出来るただのフレーム
ってのが本当は双眼鏡の基本
なのかも知れない。
ちょっと味気無いけどね、。
この簡素なフレームをベースに
こんなに評価の高い双眼鏡作っちゃう
Canonってやっぱり凄いな。
分解した後は液漏れでボロボロに
錆びてた電極をクリーニング。
クリーニング後。
あまり変わって無い?
電池と接触するのは電極先端の
ギザギザ部分だけなのでこれでOK。
次に、一番問題だった
プリズムの曇りがこちら。
矢印の部分が一番酷くて
対物側の面もなかなか曇ってる。
プリズムは珍しいポロⅡ型。
台座のプレートとガッチリ接着
されていて外すことが出来ないので
なんとか拭ける面だけを拭いたけど
コーティングが自体が痛んでいたので
曇りは完全には落とせなかった。
メーカー修理の際はプリズムユニット
丸ごと交換になると思われる。
最後に難題の視軸合わせ。
この双眼鏡には視軸が
微調整出来るようなイモネジとか
二重偏心環などの機構が全く無い。
それどころか対物レンズ枠が
3箇所のネジと接着剤でフレームに
固定されていて、再調整なんて
考えられていないように見える。
ねずみは全てのパーツを分解
しちゃってるので、すでに視軸は
メチャクチャになっている。
再調整をやるしかないのだが
調整機構がないのでどうしよう。。
結局、ネジを緩めてから
フレームとレンズ枠のガタの範囲で
対物レンズを手で動かして調整した。
なんとか頑張って
上下左右ともズレは1分程度に収めた、
ちょっと外方ズレになっちゃったのは
イマイチだけどこの辺が限界。
視軸も合わせて曇りも取って完全復活!
これで防振の真の実力を
見ることが出来る!
・・・と思ったのだけど、
覗くと10秒くらいで気持ち悪くなって
無意識に目を離してしまう。
ちゃんと視軸も合わせたのに何故??
他に考えられる原因って、
嫌〜な予感。
あぁ、やっぱり像の倒れがあった
しかも思ったより酷い。
正確にはこれは倒れ差の方で
左右の像の傾きが一致していない状態。
最近ねずみのブログで頻繁に
取り上げてる像の倒れ。
http://mouse830.livedoor.blog/archives/11741304.html
双眼鏡の調整を何十台かやってきて
視軸以上に重要ってことに気が付いた。
ねずみの場合
視軸ズレのある双眼鏡を覗くと
目の周りの筋肉がピクピクして
目が嫌がる。
一方、倒れのある双眼鏡を覗くと
目よりも先に脳が嫌がるのだ。
推測だけど
視軸ズレは眼球の向きを無理矢理
動かして補正しようとするのに対して
倒れの場合、眼球を回転(ロール)
させることが出来ない?ので
脳内で頑張って補正をかけようと
してるんじゃ無いかと思う。
どちらも気持ち悪いことには
変わりないのだけどね。
でも、待てよ??
像の倒れってプリズムの角度ズレで
発生するはずだけど
この10×30ISのポロⅡ型プリズムは
全て貼り合わせで作られてるので
ポロⅠ型のように衝撃でズレることは
あり得ない。
防振用のバリアングルプリズムも
像を回転させる効果はないので
もし狂ったとしても倒れは
発生しないはず。
これはもう一度分解して
ちゃんと検証する必要があるようだ。
その2に続く
Canonの防振双眼鏡10×30ISの話
ねずみは正直、この双眼鏡を
入手すべきか迷っていた。
ずっと前からその性能を
確かめてみたいと思っていたのだけど
もしかしたらその圧倒的な性能に
魅了されてしまって
ビンテージ双眼鏡熱が冷めてしまう
のでは無いかと不安だったのだ。
(値段を見て躊躇しただけです)
ネット上の評判を見ても
防振の威力は絶賛されていて
単純な解像度ではツァイスや
スワロフスキーのハイエンドモデルを
超えるほど優れているらしい。
これは覗いてみないわけにいかない。
しかし、、いざ買うとなると
特に決まった観察対象を持たない
ねずみが新品を購入するのも勿体ないし
なにより
ブログネタとして面白く無いので
いつものように中古のジャンク品を
漁ってみることにした。
んで入手したのがこちら。
ジャンクとはいえ1万6千円もした!
パピリオが新品で買えますね。
気になる状態は・・・
外観は文句なし。
電池の液漏れ跡があるけど
通電は問題無し。
光学系は
左側に強度の曇りあり!
視軸ズレもなかなか。
鉄塔の寸法から推定すると
上下ズレが約5分
左右ズレが内方約7分
少なくともJIS規格は外れてるし
像の倒れもあるように見える。
ただ、落下させた形跡も無いので
これは製造時からのズレなのかも
知れないなぁ〜。
この鉄塔を使ったズレの測り方は
鉄塔の記事参照↓
http://mouse830.livedoor.blog/archives/8753503.html
とまぁ
想像通りのジャンクな状態だった。
中古市場では2〜4万円くらいで
取引されているみたいだけど、
こういう状態のものが
沢山流通してるかと思うと
普通は手を出すべきじゃないと思う。
メーカー整備に出したら修理代
3万円くらいはかかると思うので
新品が買えてしまう。
では、ねずみはどうするかというと
もちろん自分で整備を試みますよ!
かなり実験的にやってますので
決して真似しないでくださいね。
いきなりカバーを開けたところ。
電子部品がズラリと並ぶ!
金属とプラスチックが
適材適所で組み合わされた構造で
この辺はカメラで培った技術が
生かされているんだろうな〜
こちらが心臓部、手ブレ補正装置
バリアングルプリズムのユニット
ガラス板2枚で透明な液体を挟んだ
構造になってるらしい
詳細はメーカーのHP参照。
カメラとは違って電子部品だけが
ユニット化されていて
工場での組み付けも簡単そう。
防振機能を取り外した
ただの双眼鏡の状態がこちら。
なかなか衝撃的な姿!!
防振装置が無いと
まるで荷台を外したトラックみたいに
スカスカになってしまう。
さらにメインフレームだけにしてみる。
プレス製の板金2枚を重ねて
スライドさせるだけの超シンプル構造!
全ての部品をこのフレームで
支持している。
前回のNikonミクロンの記事で
「基本を磨き上げた良い双眼鏡だ」
って話を書いたのだけど
ねずみが思ってた良い双眼鏡って、
軽量の金属を極薄に鋳造した鏡体に
内部は精密に機械加工してあって
ムラのない艶消し黒塗装仕上げ。
光路とプリズムがギリギリの隙を
保って巧妙に配置されていて
外側は手にしっくり馴染む曲線
上質なグッタペルカが貼ってあり・・・
みたいな。
とにかく鏡体自体にいろんな機能が
詰め込まれていて、それらを
絶妙な設計と上質な仕上げで
成立させてるイメージだった。
ところがこの10×30ISは
そんな固定概念をあっさり覆す
簡素なフレームで出来ている。
確かに、
考えてみれば遮光だって外装だって
全体を覆うプラスチックのカバーを
着ければ問題ないし
レンズやプリズムも鏡体に
組み込まなくたってユニット化した
ものをくっ付ければ良い。
そうなると
左右の接眼レンズと対物レンズが
視軸を保ったまま前後に動いて
ピント調整出来るただのフレーム
ってのが本当は双眼鏡の基本
なのかも知れない。
ちょっと味気無いけどね、。
この簡素なフレームをベースに
こんなに評価の高い双眼鏡作っちゃう
Canonってやっぱり凄いな。
分解した後は液漏れでボロボロに
錆びてた電極をクリーニング。
クリーニング後。
あまり変わって無い?
電池と接触するのは電極先端の
ギザギザ部分だけなのでこれでOK。
次に、一番問題だった
プリズムの曇りがこちら。
矢印の部分が一番酷くて
対物側の面もなかなか曇ってる。
プリズムは珍しいポロⅡ型。
台座のプレートとガッチリ接着
されていて外すことが出来ないので
なんとか拭ける面だけを拭いたけど
コーティングが自体が痛んでいたので
曇りは完全には落とせなかった。
メーカー修理の際はプリズムユニット
丸ごと交換になると思われる。
最後に難題の視軸合わせ。
この双眼鏡には視軸が
微調整出来るようなイモネジとか
二重偏心環などの機構が全く無い。
それどころか対物レンズ枠が
3箇所のネジと接着剤でフレームに
固定されていて、再調整なんて
考えられていないように見える。
ねずみは全てのパーツを分解
しちゃってるので、すでに視軸は
メチャクチャになっている。
再調整をやるしかないのだが
調整機構がないのでどうしよう。。
結局、ネジを緩めてから
フレームとレンズ枠のガタの範囲で
対物レンズを手で動かして調整した。
なんとか頑張って
上下左右ともズレは1分程度に収めた、
ちょっと外方ズレになっちゃったのは
イマイチだけどこの辺が限界。
視軸も合わせて曇りも取って完全復活!
これで防振の真の実力を
見ることが出来る!
・・・と思ったのだけど、
覗くと10秒くらいで気持ち悪くなって
無意識に目を離してしまう。
ちゃんと視軸も合わせたのに何故??
他に考えられる原因って、
嫌〜な予感。
あぁ、やっぱり像の倒れがあった
しかも思ったより酷い。
正確にはこれは倒れ差の方で
左右の像の傾きが一致していない状態。
最近ねずみのブログで頻繁に
取り上げてる像の倒れ。
http://mouse830.livedoor.blog/archives/11741304.html
双眼鏡の調整を何十台かやってきて
視軸以上に重要ってことに気が付いた。
ねずみの場合
視軸ズレのある双眼鏡を覗くと
目の周りの筋肉がピクピクして
目が嫌がる。
一方、倒れのある双眼鏡を覗くと
目よりも先に脳が嫌がるのだ。
推測だけど
視軸ズレは眼球の向きを無理矢理
動かして補正しようとするのに対して
倒れの場合、眼球を回転(ロール)
させることが出来ない?ので
脳内で頑張って補正をかけようと
してるんじゃ無いかと思う。
どちらも気持ち悪いことには
変わりないのだけどね。
でも、待てよ??
像の倒れってプリズムの角度ズレで
発生するはずだけど
この10×30ISのポロⅡ型プリズムは
全て貼り合わせで作られてるので
ポロⅠ型のように衝撃でズレることは
あり得ない。
防振用のバリアングルプリズムも
像を回転させる効果はないので
もし狂ったとしても倒れは
発生しないはず。
これはもう一度分解して
ちゃんと検証する必要があるようだ。
その2に続く