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前回に引き続き

実験的に作製した平行器を
紹介してこうと思う。


双眼装置型の平行器を作って
左右の像の区別がつかなくなる
と言う失敗を経験したねずみ。
双眼式視界


それならば
左右の視界の色を変えてやれば
判別しやすくなるだろうと言う
安易な思いつきから
こんなものを入手してみた。
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この独特の色味のガラス板は
「ダイクロイックミラー」
と呼ばれる特殊なミラーで
ハーフミラーと同じく

光の半分を透過して
半分を反射するのだけど

透過する波長と反射する波長を
キッチリ分けることが出来る。

簡単に言うと
赤い光を透過して
IMG_6293

青い光を反射する。
IMG_6294

これって、以前紹介した
ロシア製?双眼鏡の対物レンズに
施されていたルビーコーティングの
逆パターンなんですよね

ロシア双眼鏡の対物レンズは
反射が赤で透過が青だった。
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対物側から見ると赤いけど
覗いた視界は真っ青・・・
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ダイクロイックミラーが
どんな波長で光を分けているのか
確かめるために
簡易式の分光器で覗いて見ると
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透過した光はこうで
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反射した光はこう見える。
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620nmあたりを境に
波長が別れている。

青の方は青だけかと思ってたけど
濃い赤以外のほとんどの波長が
含まれている。
だから白っぽい青に見えるのかな?
もうちょっと緑あたりで
分かれてるのかと思ったのだけど
結構偏ってるみたい。


何はともあれ
ハーフミラーの代わりに
このダイクロイックミラーを使えば
左右の判別は楽勝なはず!


早速、通常の第二世代を
ベースに試作機を作成してみた。

早速完成しました
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なんでいきなり3台も作るんだよ
と言うツッコミが入りそうですね、、
相変わらずの量産癖が抜けてない。

ちなみに
サイドのキャップがねずみ色なのは
通常品との識別のためで
特に意味はありません。


双眼鏡に当てる側から見てみると
いい具合に色が分かれてる!
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16倍の単眼鏡(双眼鏡の片側)
で覗いて校正を行ってみると・・・
赤青
あれあれ??
なんだかピンボケ?
山の稜線が少しズレているので
校正が取れていないことは
分かるんだけど
鉄塔の像がぼやけているので
正確な校正が出来ない。


試しに片側を塞いで
左右別々にピントを合わせてみる。

赤の像にピントを合わせると
赤1

青がぼやける。
青1


青の像にピントを合わせると
青2

赤がぼやける。
赤2

・・・なんだか
青の方はピントを合わせても
像が二重に見える気がするが
そこは一旦置いといて
左右同時にピントが合わない
理由を考えてみると

これはもしや

色収差と言うやつ?!


こういう説明図よく見ますよね
色収差1

色収差2
単レンズだと
赤と青の焦点距離が
ズレるところを
2枚のレンズ合わせて
補正してますよーと言うやつ。

当然
ねずみが調整用に使っている
16倍のタンクローも対物レンズに
2枚合わせの色消しレンズを
使っているのでキッチリ
補正されているかと思いきや
実際はもっと沢山のレンズの
組み合わせで出来ているので
色収差は思った以上に残っている
ってことなのかな〜と思う。

つまりは赤と青の焦点距離の違いで
同時にピントが合わせられないのだ。


この時点でなんだか使えなさそうな
雰囲気が漂ってきた・・・
なんで3台もこしらえたのか。

とりあえず
悪あがきで対策しようと
調整用の双眼鏡タンクローの
対物レンズに絞りを入れてみた。
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レンズ直径が小さくなれば
色収差は減るはず。


ちょっとはマシになったかも!
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片側づつ見てみると
赤_絞り
青_絞り
なんとか左右の像の輪郭が
同時に判別できる程度に
ピントが合わせられた!
その代わりレンズの汚れが
目立つようになったけど
気にしない。。

これで一応、校正は取れたので
いざ!双眼鏡の視軸チェック
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どうでしょう・・・
左右の判別は付くけど
なんだか昔の赤青の3Dメガネの
視界みたいで目がチカチカして
あまり見やすいとは言えない
感じになってしまった。

双眼装置型に組み込めば
それなりに効果はあるかもだけど
そもそも視界が狭いという
弱点があるので
最適解では無い気がする。。


左右で極端に色を変えると
色々弊害がある事が分かったので
もしやるのなら
薄めのカラーフィルターで
マイルドに着色するくらいが
ちょうどいいのかな〜?

というわけで、この

ダイクロイックミラー式も
一旦お蔵入りとしますが
ベストな着色については今後も
探って行きたいと思います。



さて次回は
いよいよ本当の進化版

第3世代
の登場です。
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お楽しみに!

今回は
当ブログの定番ネタ?
平行器(光軸検査器)の話の続きです。

続きと言ったって、最後に
平行器の記事を書いたのは
2021年の9月・・・
なんと3年近く前のことでした!

このブログを始めたのが
2021年の2月なので
今年で4年目に突入していますが
平行器作製の記事は
最初の半年に集中していて
それ以降はあまり
触れていなかったのです。

では今まで
何もしてなかったかと言うと・・・
そんなことはありません。
水面下?でちょっとずつ
平行器を進化させていましたよ


前回の記事で
その存在を匂わせたまま
封印されていたコチラの平行器も
公開しますので
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最後まで読んでいただけると幸いです。


まずは
ねずみの平行器の歴史を簡単に
おさらいしようと思う。

最初に作ったのがコレ
第1世代


第1世代と呼ぶことにする。


特徴としては
ジャンクカメラから取った
ハーフミラーと
ジャンク双眼鏡から取った
プリズムを使い
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光軸の校正は
3本のイモネジを
プリズムに直接当てて

その締め加減で行う
と言う強引な構造だった。
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ネジを締めた時の
光軸の動き方が掴みにくく
校正に何時間もかかると言う
厄介な仕様であったが
シンプルな構造のおかげで
一度調整してしまえばほとんど
狂わないと言う良い面もあった。


そんな第1世代に限界を感じて
大幅な改良を加えたのが
この第2世代
第2世代

第1世代の弱点である
校正の難しさを克服して
現在も最も活躍している平行器。

ねずみ独自のシーソー型の
光軸調整機構を組み込んだことで

校正に掛かる時間を大幅に

短縮した仕様となっている。
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現在はこの第二世代をベースに
数々の改良を重ねて最終的に
以下のような仕様となっている。

まず、双眼鏡に当たる面には
植毛紙を貼って反射防止と
双眼鏡の保護を兼ねている。
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調整ネジには全て真鍮を使い
アルミとの線膨張係数の差を
極力無くすことで

温度差による狂いを減らした
第2世代_ネジ

さらにシーソー構造の回転中心を
とがり先の止めネジから
真鍮の球で受ける構造に変更して
面圧を低減することで
耐久性を向上させている
カップ&ボール


光学系についても
ジャンク双眼鏡のプリズムから
既製品のプリズムに変更して
個体バラツキを減らすなど
プリズム

2.5世代と行っても良いくらいの
改良を加えているのだ。

ちなみにこの仕様は
プロの方にも使って頂いており
ねずみの平行器開発の中で
一つの到達点だと思っている。


ねずみは
この第2世代をベースに
いくつかの派生型を作製し
テストしているので
それらを紹介していこうと思う

まずはこちらの平行器
双眼装置型1

前回の記事で、存在を匂わせたまま
ずっと公開していなかったモノ

双眼装置型2

なんだか扁平な見た目をしてますね、
そして覗き穴が真ん中にある。

内部構造はこんな感じ。
双眼装置型3


シーソー型調整機構を2つ
直列に配置して
手前側をハーフミラー(写真右)
奥側をミラー(写真左)
としている。
双眼装置型4


コイツは
左右の光路長を同じにすると言う
コンセプトで作ったもので
言って見れば双眼装置を
逆から覗いてるのと同じ構造なのだ。

・・・何が良いのかって??


まず通常の平行器は
左右の光路長が大きく異なっている。

眼幅60mmの平行器を
25mm角のパイプで作成したとすると
平行器光路長1

左の光路長が25mmに対して
右は85mmとなる
展開するとこんな感じ。
平行器光路長2

つまり右側は眼幅の分だけ
離れたところから覗いている
状態なので、右側の視界が狭く
像もやや小さく見えるのだ。
平行器視界1
像の大きさが異なると
上下の誤差の判別が難しくなるので
平行器の左右をひっくり返して
同じ見え方になるところを探るなど
精密調整にはコツが必要となる。

実際の見え方がコチラ
平行器視界


それならば
双眼装置の構造を真似て
左右の光路長を同じにしてやれば
左右の像の大きさが同じになり
調整がやりやすくなると考えて
作製したのがこの扁平タイプだ。
平行器光路長3

結果は・・・

視界が極端に狭くて使い辛い。
双眼式視界

ねずみはこの平行器を
40mm幅の角パイプで作ったので
光路長は左右とも
100mmになっており
通常の平行器の右側よりも
長くなってしまった。

展開すると。
平行器光路長4

通常の平行器では
左側の視界が広いので
ズレが大きい双眼鏡でも
左の視界で目標物を
捉えることが出来るのだが
コイツの場合
左右とも視界が激狭のため
それが出来ない。
平行器視界2
さらに
視野が同じ大きさになったことで
左右の区別が付かなくなった・・・
よく考えれば当然ですね。


結局のところ通常の平行器でも
慣れてくれば
精密調整が出来るようになるし

視度望遠鏡等の低倍率の
単眼鏡を組み合わて
さらに像を拡大すれば
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大きさの違いもほとんど
気にならなくなるので
双眼装置式の平行器は
特に必要性がなくなって
現在はお蔵入りとなっている。


何か良い改善案が見つかれば
復活させるかもしれませんけどね〜。


さて

次にねずみが試した平行器は?!


次回に続く。

「双眼鏡の視軸調整その3」
の記事を書いてから
もう1年も経ってしまったようだが
そろそろ続きを書いてみようと思う。

前回の記事はコチラ↓

http://mouse830.livedoor.blog/archives/10100337.html

これまで二重偏心環タイプの
視軸調整の方法について
詳しく紹介してきたが今回は
「視軸を中心軸に合わせる方法」を
紹介しようと思う。

文献等の情報が見つからないので
ここで紹介するほとんどは
ねずみが試行錯誤して独自に
たどり着いた方法である。
もっと正確な情報をご存知の方は
是非アドバイスお願いしたい。


まず中心軸とはなにか?
眼幅を合わせるために左右の鏡筒を
開閉する時の回転中心となる軸のことで
一軸式の場合は真ん中の軸を指す。
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タンクローとか二軸式のものは
この軸がないけど便宜上、真ん中に
仮想の中心軸があると考えれば良い。


そして
「視軸を中心軸に合わせる」とは
左右の視軸の向きを中心軸と
一致させること。
双眼鏡1

これは「双眼鏡の視軸調整その1」
の記事でも触れているけど↓
http://mouse830.livedoor.blog/archives/9859556.html

一つの眼幅で視軸を合わせた時。
つまり平行器1台で視軸を合わせた時
左右の視軸は平行になるが
中心軸と一致しているかは分からない。
例えばこんな感じで両方とも揃って
左にズレているなんてこともあり得る。
双眼鏡2
この状態でも視軸は合っているけど
眼幅を変えた時に視軸がズレる
という大きな問題が生じるのだ。

・・・と言っても
ピンと来ないかもしれない。

そこで
この現象を分かりやすくするために
こんなものを作ってみた。

名付けて「視軸見える君1号」
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双眼鏡の視軸を模式化したもので

矢印が左右の視軸の向きを表している。

例えば眼幅60mmの位置で
視軸を合わせた時、上の写真のように
左右とも左にズレていたとする。
(実際はどちらにズレているか
この時点では分からない)

この状態で眼幅70mmに広げると
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こうなる。
左の視軸が上にズレて
右の視軸は下にズレるのだ。

眼幅70mmの平行器を通して見た時の
視界はこうなる。
左の視界は上に動き
右の視界は下に動く。
(目標物の動きとは逆)
中心軸1


60mmで左右とも上にズレていた場合は
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70mmにするとこうなる。
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これは外方ズレの状態で
平行器を通した視界はこうなる。

中心軸2


もうお分かりだと思うが
眼幅60mmでも70mmでも
視軸が一致してる状態になれば
視軸と中心軸が一致したことになるのだ。


ねずみはこの調整をとても重視している。
眼幅を変えても視軸がズレないってのは
もちろんだけど
視軸が中心軸に合っているほうが
どちらかに偏っているよりも
見え味が良いような気がするからだ。

実際のところ
ねずみはこれを見分けるほどの
眼力をもっていないし
そんな気がするだけなのだけど。。

中心軸と視軸が一致してる状態が
一番ニュートラルな状態であって
その双眼鏡の性能が最大限
引き出されてるのでは?思っている。

ねずみがわざわざ眼幅違いの
平行器を作っているのも
この中心軸合わせのために他ならない。
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作業的には
60mmで視軸を合わせて
70mmで視軸を合わせて
また60mmで合わせて
70mmで合わせて・・・
を繰り返していけばいつかは
中心軸に合うことになるが
この方法では合うまでに
なかなか時間がかかる。

ねずみの場合は
基本的には眼幅60mmの状態だけで
この調整を行なっている。
手順としては
まず60mmで視軸を合わせてから
70mmにした時のズレ方を確認する。

ここで「視軸見える君」を使って
60mmの時の視軸が
どっちにズレていたのか?を推定する。
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例えば60mmの時の視軸が
左右とも左にズレていると分かれば
60mmの状態で視軸を少し右に
動かしてみて
70mmでのズレの変化を確認する。
足りなければもう少し右にずらして・・
を繰り返す。
そして70mmにしても視軸がズレない
状態になったところで、最後に
自分の眼幅と同じ64mmの平行器で
精密調整して完了。と言った感じ。

今のところ
このやり方が一番効率が良いのだけど
もっと良い方法をご存知の方は
是非教えて欲しい。


これまでいろいろな双眼鏡の修理記録や レビュー記事なんかも書いて来たけど
何故かこの視軸調整の記事が
一番アクセス数が多い。

いったいどこに需要があるのか
分からないのだけど、、
多くの方が読んでくれているようなので
今後もこのネタは続けて行きたいと思う。


次回は内方ズレ?外方ズレ?
どこを狙って視軸調整するのが良いか。
市販の双眼鏡はどこを狙ってるのか?
その辺りについて書いてみようと思う。

いつになるかはわかりませんが
お楽しみに。

前回の記事で紹介した
改良版ねずみ式平行器
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コイツをもっとカッコよく
そして使い勝手が良くなるように
カスタムしてみる。


まず調整機構のネジ径をM3からM2に変更。
ネジピッチを細かくすることで
微調整しやすくした。
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ついでに鉄だったのをSUS製に変更。

少しでもケースのアルミとの
線膨張の差を小さくして
温度変化による狂いを減らそうという考え。

ちなみに各材料の線膨張係数を調べてみると
アルミ(A6063)  : 23.4 (×10^-6/K)

真鍮              : 19
SUS304       : 17.3

鉄                 : 12.1
ガラス(BK7)   : 7.1
となっている。
温度帯で変わるので参考値。

アルミか真鍮がベストだけど
高価で種類も少ないので
実際使うならSUSかな〜?


それにしてもアルミとガラスの
線膨張の差ってすごく大きい。

なのでねずみは
アルミとガラスを接着する時に
大きい面積でくっつけないように
注意している。
熱応力でガラスが割れるといけないのでね。
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ハーフミラーの場合
接着してるのは真ん中の黒い部分だけ。


話は戻って
次にケース内面の艶消し黒塗装と
プリズムのコバ塗り。
IMG_5763
ちょっと値が張るけど
スコープライフさんが出してる
光学部品専用の塗料を買った。

80mlってちょっとかと思ったけど

これ一生分の量あるわ。。


プリズムの方はケースとの接触面だけは

精度確保のために塗らないでおいた
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矢印の面は塗ってないんだけど

他の面を全部黒くすると
この面も見た目が黒に変わる!
なんでだろうか?不思議。


黒塗装で一番効果があったのは覗き穴内側。
アルミ切削面のキラキラが無くなると
大分覗きやすくなる。
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逆にそこ以外は
あんまり効果ない気がするけど、、
塗り残しがあると
気になっちゃうので
全部塗っといた。


その次は双眼鏡に当てる面に
艶消し黒のカッティングシートを貼る。
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これは双眼鏡見口の傷つき防止と
接眼レンズへの反射を抑えるため。
塗装だと削れちゃうのでシールにした。


最後に一番気になってたガラ空きの
ケース端っこにフタを付ける。
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フタ自作は結構大変なので
市販のパイプエンドキャップを使った。


会議机の足とかに付いてるやつ。
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そのままだと差し込み部が長すぎるので
左のように切り詰めておく。

フタをはめたら完成!
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自前で作ったモノを自前でカスタムして
楽しむという、ただの自己満足。


ところでこの平行器の調整をしていて
新たに気付いたことがある。

今回の調整機構は
覗き穴の上下に付いてるのが
上下調整ネジ
左右に付いてるのが左右調整ネジ
となっていて

X-Yの調整を完全に分けたつもりだった。

でも実際やってみるとこんな動きをする。


右を回すと
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こんな感じで目標物が斜めに動く。
平行器_調整2


左を回すと
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こんな感じ。
平行器_調整1
最初に作ったやつが
たまたまそうなるのかと思ったら
量産した全ての個体がそうだったので
ちゃんと検証してみると、、


左右調整ネジを締める前の状態を
横から見るとこんな感じ。
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ネジを締め込んでいくと
調整機構のある面が弓なりにたわむ。

かなり大げさに描くとこんな感じ
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垂直の面がたわむと
ミラーを接着している水平の面が上に動いて
ミラーの反射面が下を向く。


すると視界が下に動いて目標物が上に動く
と言う原理のようだ。



これが何を意味するかと言うと
上下の調整ネジを使わなくても
左右のネジだけで

調整出来てしまうという事!

例えばこんな感じ。

左下にいる目標物を
真ん中に持って行きたければ
平行器_調整3

う〜む、

ネジ2本で調整出来て便利ではあるが
思ってたのと違う動作で
なんだかモヤモヤする。

なにはともあれ
使いやすい平行器が出来たことには
変わりないのでコレで良しとします!



色々やってるうちに
平行器だらけになってしまった。
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一番後ろの列はボツになった試作品
その前の列は最初に作った3台
その前のは今回作った改良版3台
一番手前がカスタム仕様と製造中のやつら。


おまけに新構造も開発してたりして、、
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こちらの詳細はまだ秘密ですよ〜。


双眼鏡調整の道具を揃えるために
作り始めた平行器だけど、

最近これを作ること
自体が
楽しくなってしまっているので
今後も改良を続けていくつもり。


以上、改良版平行器の製作でした。

改良版平行器の製作を始めたねずみ。

アルミ角パイプを愛用のピラニア鋸で
切断するところから始まる
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この鋸スゴく切れるんだけど
手作業は疲れる。切断機が欲しいな〜


一気に3本切り出した。
今度は眼幅違いの3台を一度に作ってみる
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何気にこの角パイプのケースが
ねずみ式平行器の肝になっている。

平板やLアングルの上に部品を組み付けて
後からカバーを付ける方法もあるけど
角パイプでモノコック構造にする方が
剛性が高くて狂いにくいと思う。

調整ネジも
外からアクセス出来るので
カバー取り付けによる歪みもない。


このパイプの精度は結構重要。
端面は穴の位置をケガく時の
基準にするのでしっかり研磨して
直角を出しておく。
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続いて、L字アングル材を使って
ミラーベースを3つ作る
カットする前に覗き穴を開けておくと
効率が良い。
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・・・ねずみはどうも量産癖があるようで
こういうものを作り始めると
生産効率を上げて量産したくなってしまう。

以前、アルミ缶を使った
アルコールストーブの自作にハマった時も
加工用の治具まで作って大量生産していた。
IMG_5760

アルコールストーブってこんなやつね、
山でお湯沸かしたり出来る。
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一台づつ完成させていくよりも
各工程を流れ作業して大量生産出来ると
なんだか気持ちが良いのだ

結局使うのは一個だけなんだけどね。。




話は平行器に戻って

プリズムは例によって

ジャンク双眼鏡から取ったやつ。
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不要部分をダイヤモンド砥石で削って
サイズを合わせる。

手作業なので、1個削るのに

30分くらいかかって非常に効率が悪い。
これからは市販品を買おうかな〜

これが出来上がった一台分の基本部品
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調整機構をハーフミラー側に
集約したことで部品点数も抑えられた。


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これが3台分。


組み付けも3台づつの流れ作業

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調整機構がある垂直の面(覗き窓の方)は

ネジの軸力で結構歪むので
歪みの影響を受けないように
ハーフミラーは水平の面に接着。


ハーフミラーのモジュールと
プリズムをパイプの中に固定すれば
組み付け完了。
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調整はこんな感じで
デジスコ用の架台やらいろいろ
組み合わせた台にセットして行っている。
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16倍の双眼鏡で覗きながら調整
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秒単位で合わせるには
高倍率の双眼鏡か単眼鏡が必須。
片目しか使わないので
視軸のズレてるジャンク品でOK

肉眼では絶対無理ですよ〜


調整が終わったらレーザーポインター
使って眼幅チェック
写真は眼幅64mmのやつ。
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プリズムの取り付け位置で
眼幅を変えられるのでズレていたら再調整。


調整出来たら完成!
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調整機構の改良によって
調整にかかる時間が大幅に短縮出来た

以前は最長1時間かかっていたところ
コイツは大体3分以内で合わせられる。
一体いままで何に時間使ってたんだか、。



ところでこの平行器。

ケースの端っこがガラ空きだったり
見た目的にイマイチ洗練されてない
感じしますよね。


次回はこの平行器を
カッコよくカスタムしちゃいます!!

その3に続く

最近ブログ更新をサボっていたねずみ。

なにをしていたかと言うと
自作平行器の改良である。


こちらは改良前のやつ。
IMG_4122


夏になってからのこと。

いつもの双眼鏡の視軸調整をやろうとしたら
平行器自体の視軸が上下に3分程度ズレていることに気がついた。

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どうも温度変化でプリズムの締め加減の
バランスが変わったみたい。

こうなると再調整をするしかないのだけど
これが意外と時間のかかる作業なのだ。

ねずみが最初に作った平行器は

構造が簡単で作りやすいことと
コストを重視しすぎて

調整のやりやすさが犠牲になっていた。


プリズムを押さえる3本のイモネジの締め加減でプリズムの角度を微調整すると言う強引な構造。。。


詳細は過去の記事参照

http://mouse830.livedoor.blog/archives/8850636.html

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3本のネジのバランスでプリズムの傾きが決まるので、どれを絞めたらどっちに像が動くかハッキリわからない

ネジを絞めたり緩めたりしてピッタリ合うところを探すのだが、上手くいかない時は1台の調整に1時間ぐらいかかることもあった。


この構造に限界を感じて
改良版を開発することにした。

まず考えた構造がコレ

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ミラーを接着したベースのプレートを
ケースにネジ留めして、ネジを中心に回転させる。この構造は前と同じ。

それをケースの前後に付けたイモネジで

プレートを両端から押して角度を調整する。

同じ構造をプリズムの方にも設けて
こちらは垂直方向に回転させる。

ハーフミラー側が左右調整

プリズム側が上下調整で
X-Yで別々に調整出来る構造とした。

思いついたらlet's試作!
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いきなり完成!
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作ってみたらいろいろ気付いた。

今までの構造は回転するベースプレートを

プリズムごと上から押さえつけていたが
今回はイモネジで挟んでるだけなので
プレートが微妙に浮いたりして安定しない。
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それと、調整ネジが4つの面に分散してしまったので覗きながらネジを探すのが大変で調整時の作業性が非常に悪い、

と言うことで、あっさりボツ。


次に思いついたのは
2本のイモネジを支点にして
ベースプレートをシーソーの様に

傾ける構造。
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左右2本の引きネジで
シーソーの傾きを決める。
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コレを、前作と同じように

上下と左右の調整を分担させる形で
ミラーとプリズムにそれぞれ仕込んだ。
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完成!
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今度はプレートが4点で押さえられてるので
安定性はかなり向上したのだが
加工部位が多くて
作るのが大変になった。

調整ネジも2面に分かれてるので

地味にやりにくいな〜と思いながら
調整作業をやってる時


ねずみはふと気付いた。


左右方向を調整する機構の
(上の写真ではプリズム側)
シーソー支点の2本のイモネジの高さを変えると上下方向の調整も出来てしまうのだ。

この機構は垂直面に1つあれば良くて
2つ付ける必要は無かった。

単純なことだけど実際作ってみるまで気付かなかった、やってみるって大事だね。

この機構はプリズム側に付けると
ベースプレートがプリズムの重みで微小にたわんでしまい、
平行器を上下逆さまにした時に光軸がズレることが分かったので

質量の軽いハーフミラー側に付けることにした。
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こんな絵で伝わるだろうか?
ベースプレートを上下に傾けると

視界も上下に移動する。

これで方針は決まったので

いよいよ本格的な設計に入る。

今まで俗に言うポンチ絵で作ってたけど
複雑化してきて
寸法間違えそうなので
今度はちゃんと設計図を書いたぞ!



公開するので興味ある方は
作ってみてくださいな。

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精度は自分の腕次第なので公差は無し。
アルミ材はホームセンターで売ってるやつで
板厚2mmの物がちょうど良い。
ネジサイズはM2〜3でお好みで。

細かいところではハーフミラーの

ガラスの屈折で光路が0.3mmぐらいオフセットするとこまで考慮したけど、手加工でそんな精度出せるかな?

次回はいよいよ本命仕様の作成!


その2に続く。

今回は偏心環でレンズを動かすタイプの視軸調整について詳しく説明しようと思う。

前回の記事では偏心0の状態から視軸を動かす方法について説明した、これは双眼鏡を分解して組み立てた後の最初の1回目の調整と思って欲しい。
視軸レンズ6
偏心リングの重ね合わせを使って、視界を動かしたい方向にレンズを移動させる。するとそちらに視軸が動くという原理。

この1回目調整後の状態を、リングの一番肉厚になっているところを基準として数値で表すと
挟み角度: 90°
中心角度: -45°
となる。
エキセントリック5
もっと専門的な表し方があるのかも知れないけどねずみは自己流で勝手にこう表現している。

リングの最肉厚部を基準にしているのは、ここに工具を掛けるための溝が付いているものが多いのでそれを目印に出来るからだ。


最厚部に溝が無いものはマーカーで目印を付けておくとわかりやすい。
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薄い方を基準にしても考え方は一緒なのでそこはお好みで。


もちろん
最初の1回の調整でピタリと合わせることは不可能なので微調整を加えていくことになるが、ここからがややこしくなる!

1回目の状態から目標物を真ん中に持っていきたい場合、移動量は1回目の半分とする。
視軸レンズ9
どうするかというと
全体を右回りに回転して
且つ挟み角度を増やす
という操作をする。

偏心リングの偏心量を1とすると
1回目調整時の水平(X)方向移動量は1だった。
ここから左に0.5動かしたいとすると

挟み角度: 112°
中心角度: -63.5°
にすれば良い
視軸レンズ8
こうすると上下の高さを変えずに目標物を真ん中に持ってくることが出来る。

グラフにしてみるとわかりやすいかも。

1回目の調整後がこの状態

赤丸がレンズの中心で緑と青の線が偏心リング最厚部の位置を表している。
偏心量計算1
1回目調整後の状態は
水平方向(X)の偏心量が-1

垂直方向(Y)の偏心量が1
レンズ中心位置は内外リング偏心量の

X成分Y成分を足し合わせて±反転した値になる
(薄い側基準なら±反転しなくて良い)

2回目の調整後はこれ
偏心量計算2
水平方向(X)の偏心量が-0.5
垂直方向(Y)の偏心量が1の状態。

グラフにしたらわかりやすいかな?と思ってやってみたけど逆にややこしくなった気がするぞ。。

とにかく細かいことは考えずに、この原理を頭の片隅に置いてやってみれば体で覚えてくる。


と、ここまでが基本の視軸調整の話。

次回は左右の視軸を中心軸と
一致させる方法について語ろうと思う。

ここが一番難しくて、ねずみが一番調整の肝だと思っているところ。


・・・視軸調整ネタが長くなってきたけど
まだまだ書けてないことがいっぱいあってキリがないので

少し休憩で別の話題を入れようかと思います。

いよいよ核心?の
視軸調整について書いてみようと思う。

ねずみは何の知識も無いところから
スタートしたので最初はやり方が
全くわからなかった。
というか素人が手を出しちゃ行けない
領域だと思っていた。
最初の方の記事で書いたけど
平行器を自作したところから
世界が変わって、今ではそれなりに
精度のいい調整が出来るように
なったと思っている
、、まだまだ修行中ですけどね。

視軸調整については、
まとまった文献も見つからないし
ネットで調べても具体的な
調整方法まで説明しているサイトは
皆無と言っていいと思う。
唯一yamacaさんという方のページが
視軸調整の考え方を詳しく
説明されているので
参考にさせていただいた。

今回紹介するノウハウは
そんな断片的な情報のツギハギと、
ねずみの今までの経験から
導き出したものである。
間違いもあるかもしれないので参考に
される方は自己責任でお願いしたい。
そしてもっと正確な情報を
お持ちの方がいれば是非教えてほしい!


最初に
ねずみの理解では双眼鏡において
「光軸」「視軸」
本質的に異なる。
('23.2.19追記: この記事では双眼鏡の光学系全体の光軸のことを視軸と呼んでいます。正確には視軸とは眼球が見ている方向のことですが、それとは異なる意味合いで使っています)


望遠鏡で言う光軸調整
対物レンズと接眼レンズの中心を
一致させることである。

これがズレていると
本来の性能が出ない。
(下図の赤線は光の経路では無く
光学系全体が向いている方向を
擬似的に表しています。)


光軸がズレた状態
望遠鏡1

光軸が合っている状態
望遠鏡2


一方の視軸調整とは望遠鏡を2つ並べて両目で見る装置(つまり双眼鏡)の左右の光軸を平行にすること。
双眼鏡1
理想的には上の絵のように光軸を合わせた望遠鏡を二つ並べて視軸を合わせれば完璧な双眼鏡が出来る。
でもそれは双眼鏡を一から作るときの話で、既存の双眼鏡を調整をする時には視軸と光軸の両方を同時に合わせることは出来ないはず。

双眼鏡の場合

倍率が低いので光軸が多少ズレてても
問題にならないけど
視軸がズレた状態では
使い物にならないので
視軸の方を優先して合わせることになる。

すると多くの場合こうなる。

双眼鏡2
視軸は合っているけど光軸はズレた状態。

平行器での調整は

視軸を平行にすることしか出来ないので
左右の光軸が同じ方向にズレていても
分からない。
平行器一台(一つの眼幅)で
視軸調整された双眼鏡は

ほぼこの状態になっていると思われる。

これだと光軸がズレている以前に

双眼鏡の眼幅を変えた時に
視軸がズレる現象が起きる

自分の眼幅と同じ平行器で

調整されていれば
実用に支障はないけど、、
やっぱり光軸が大きくズレてたら
双眼鏡の真の実力を
引き出せないのでは?

とねずみは考えている。

なので
視軸調整を行う中で光軸もできる限り

良いところに持っていきたい
というのがねずみの考え。

少しヒントがあったけど
その方法はつまり・・・
それを最初に語りだすと
ややこしくなるので
まずは双眼鏡の視軸調整機構について
説明する。


双眼鏡の視軸調整機構には
大きく分けて2種類ある。


1.プリズムを動かすタイプ
2.対物レンズを動かすタイプ

直感的に分かりやすいのは
1のプリズムを動かすタイプ。

プリズムを左右からイモネジで押す構造のもので、
Nikonのミクロンを真似た形の日本製双眼鏡にも多い。
ZEISS以外の古いドイツ製双眼鏡にも
見られる構造だ。

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矢印の部分がイモネジで
鏡体の外からイモネジを操作する。

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構造を絵にするとこんな感じ。
イモネジを締め込んだ量がそのままプリズムの移動量になるので直感的にわかりやすくて調整自体はやりやすい。
プリズム1
プリズム2

注意点として、動かしたい方向のネジを先に緩めてから押す側のネジを締めないと、プリズムに過大な圧力がかかってプリズムが割れてしまう。

また視軸を追い込もうとして
何度も調整を繰り返すと
プリズムに傷がついたり
イモネジのスリワリ
(マイナスドライバーをかける部分)
メネジが摩耗してくる。
何かと破損のリスクが多くて気を使うので、ねずみは出来ればこのタイプの調整はやりたくない。


2の対物レンズを動かすタイプは
二重偏心環を使うものがほとんどで

ZEISSのポロはほぼ全てこのタイプ。
戦後の日本製ポロもZEISSを真似てるのでこのタイプが多い。
FullSizeRender
偏心した対物レンズ枠の外側にもう一つ偏心したリングがはまっていて、この2つを回転させることでレンズの位置を動かす構造になっている(写真は分かりやすいように対物レンズ押さえのリングを外したところ)


調整をする時はまず押さえのリングをカニ目レンチで緩める。

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カニ目が滑ってレンズを傷つけるといけないので、ねずみは丸く切ったゴムシートをレンズの上に乗せて保護している。

この押さえのリングは完全に外してしまうと対物レンズが落っこちるので緩めるだけにしておく。
(一部Nikonなどリングを外さないと
偏心環を回せない機種もある)

外側からイモネジで回転止めしてあるものはこれも緩める。

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すると対物レンズ枠と外側の偏心環がそれぞれ自由に回転できるようになる。

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ねずみはいつも爪楊枝を使ってこんな風に回して調整している。


この構造を絵で説明すると
左が外側の偏心環で、右が対物レンズと偏心したレンズ枠が一体になったもの。
この2つの重ね合わせでレンズの位置が決まる

エキセントリック1

内側と外側それぞれのリングの偏心量は等しくなっていて、仮に偏心量を1とすると



この状態はレンズの偏心量が0で
鏡筒の中心と一致している。
エキセントリック2


偏心環の肉厚の側を同じ位相に持ってくるとレンズの偏心量は2となる。


エキセントリック3


90°ずらすとルート2で1.414・・・
エキセントリック4

このように内外の偏心環を回すことでレンズの位置が移動する。
これが基本的な構造。


偏心環の回転に対して移動量が一定じゃないところが直感的に分かりづらいけど、プリズム式のような破損のリスクが少ないので徹底的に視軸を追い込むにはこっちの方がやりやすい

プリズムもしくはレンズが

動かせるという事は分かったけど
これでどう視軸を調整するのか?


それは次の記事で
詳しく説明していくので
乞うご期待。

2、3号機は初号機の問題点を踏まえて構造を見直した。

まずビームスプリッターが手に入らないので、ハードオフで買ってきた300円のジャンクカメラからハーフミラーを取って使うことに。

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ハーフミラーはここに付いてる。


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話はそれるが、フィルムカメラの中身って部品が隙間なく詰め込まれていてカッコいい、部品点数の多さは常軌を逸している。機械部品と光学部品、それらを制御する電子部品が複雑に融合したハイブリッドな製品だ。

これがデジカメに置き換わった時にはかなりの部品が淘汰されたんだろうなぁ、今の自動車産業にも通ずるところがあるか。
IMG_1386
・・・などど余計なことを考えながらハーフミラーを取り出す。(本体バラさなくても取れる)


このハーフミラーを適した大きさにカットする。ダイヤモンドヤスリの角で直線にキズを付けて軽く叩いたら真っ直ぐに割れて簡単にカット出来た。


ハーフミラーはペラペラの板なので接着するしか固定方法が無いが、ケース内部に直接接着するのは難しいのでアルミのフラットバーの上にハーフミラーを立ててからケース内に入れる作戦。今回はこのフラットバーが肝。

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ここで問題になるのが如何にプリズムの反射面とハーフミラーを平行に立てるかってこと。ここで大きくズレると調整の範囲を超えてしまう。

ねずみはこんな方法を考えた
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プリズムの反射面を治具として使うのだ、
そうすればおおよそ平行に立てる事が出来る。

プリズムの反射面にハーフミラーを当てた状態でUVレジンを接着剤にして土台のアルミに仮付けする。

レジンの量は多すぎるとプリズムにくっついちゃうので注意が必要!
仮付け出来たらアラルダイトとかのエポキシ系接着剤で補強する。


これをケースに入れる前の状態で覗いてみると
FullSizeRender

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分かりやすいようにわざと左右をズラしているが上下方向のズレはほぼ無い事が分かる。

あとは左右ズレの調整と最後の微調整が出来る機構があればOKである。

左右ズレの調整機構はハーフミラーと一体となった土台のフラットバーを活用する。
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フラットバーのハーフミラー側の端にネジを切っておいてケースの下側から皿ビスで留める。

バーはケースと片側1mmの隙があってビスを中心に少し回転する事が出来る。
プリズム側の端にイモネジを付けてねじ込む事でバーを回転方向の位置を決めるようにした。


上から見た断面を絵にするとこんな感じ。

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最初はイモネジを引っ込めておいてイモネジにフラットバーの端を突き当てた状態。

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ここからイモネジを締めていくとフラットバーが前に押されて、あるところでプリズムの反射面とハーフミラーが平行になる。

平行器を覗きながら左右が一致したところで上からイモネジでプリズムを締め付ければフラットバーも共締めされて固定される仕組みである。
構造を見て分かる通りイモネジはバーを押してるだけなので戻り側での調整は出来ない、行き過ぎたら最初の状態に戻してやり直しとなる。
最初の調整が面倒になるけど一度合わせれば頻繁に調整するものでも無いのでこんな構造でも不都合は無い。

プリズム抑えのイモネジは青で示した3箇所
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初号機と同じでプリズムの下面にはマスキングテープが一枚貼ってありイモネジの締め加減でテープの潰れ量が微妙に変化してプリズムの傾きが微妙に変わる、これでズレの微調整が出来る仕組みだ。

初号機は2方向から4本のイモネジで押さえていたがこれが調整を難しくしている原因だったため一方向の3本にして大分改善した。

これで60、64、70のセットが完成!
IMG_1941
この3台を使えば完璧な双眼鏡の視軸調整が出来ることになるが、やってみると難しいんだな〜これが。

それはまた別の記事で。

2号機、3号機製作の話

平行器は一台あればいいと思っていた管理人ねずみ。日本望遠鏡工業会さんのホームページを見ると眼幅60mm、64mm、70mm の3種類のラインナップがあることに気づく。

ねずみが作った初号機は眼幅64mm。


自分の眼幅がこんなもんだからそれに合わせたのである。大体周りの人を見渡してみても人の眼幅は63〜65くらいに見える、測ったわけじゃないけどね。
子供はもっと短いから60mmは子供用か?70mmの眼幅の人なんていないぞ??
と最初は意味が分からなかったが、よくよく考えていくうちに気がついた。

双眼鏡はどの眼幅でも視軸がズレないようにしないといけない、そのためには双眼鏡の左右の視軸と真ん中の回転軸の3本の軸を平行に合わせる必要があるのだ。

つまり60mmと70mm両方で視軸が合ってる状態にしないといけないって事で平行器は2種類は必ず必要になる。64mmは日本人の平均的な眼幅なのでおそらく最終調整用だろう。

では1つの平行器で60mmと70mmの両方を調整することはできないのだろうか??
どうなるのか簡単に絵を描いてみた。

まずは64mmの平行器で眼幅64mmの双眼鏡を見た場合
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双眼鏡の左右の視軸が一致していれば目標物(鉄塔)は一つに重なって見える。

次に64mmの平行器で眼幅60mmの双眼鏡を見た場合
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双眼鏡の視軸が一致していたとしても、プリズムで反射した右の光とハーフミラーを通り抜けた左の光が一致しないので目標物はズレて見える、それ以前に視野の円がズレて見える。

なので

視軸調整をちゃんとやるには双眼鏡の眼幅に合わせた60mm、64mm、70mmの3台が必要なのである。平行器を自作されてる方のブログ等をみてもこの点に言及されている方はいないと思われる。

まぁ最低限自分の眼幅で合わせれば自分が使う分には不自由しないから一台でいいのかもしれないけど、どうせやるなら本当の視軸合わせにチャレンジしてみたいよね。

・・・と。前置きが長くなったが

そんな理由で60mm、70mmの平行器製作に取り掛かることにしたのである。

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