いよいよ核心?の
視軸調整について書いてみようと思う。
ねずみは何の知識も無いところから
スタートしたので最初はやり方が
全くわからなかった。
というか素人が手を出しちゃ行けない
領域だと思っていた。
最初の方の記事で書いたけど
平行器を自作したところから
世界が変わって、今ではそれなりに
精度のいい調整が出来るように
なったと思っている
、、まだまだ修行中ですけどね。
視軸調整については、
まとまった文献も見つからないし
ネットで調べても具体的な
調整方法まで説明しているサイトは
皆無と言っていいと思う。
唯一yamacaさんという方のページが
視軸調整の考え方を詳しく
説明されているので
参考にさせていただいた。
今回紹介するノウハウは
そんな断片的な情報のツギハギと、
ねずみの今までの経験から
導き出したものである。
間違いもあるかもしれないので参考に
される方は自己責任でお願いしたい。
そしてもっと正確な情報を
お持ちの方がいれば是非教えてほしい!
最初に
ねずみの理解では双眼鏡において
「光軸」と「視軸」は
本質的に異なる。
('23.2.19追記: この記事では双眼鏡の光学系全体の光軸のことを視軸と呼んでいます。正確には視軸とは眼球が見ている方向のことですが、それとは異なる意味合いで使っています)
望遠鏡で言う光軸調整は
対物レンズと接眼レンズの中心を
一致させることである。
これがズレていると
本来の性能が出ない。
(下図の赤線は光の経路では無く
光学系全体が向いている方向を
擬似的に表しています。)
光軸がズレた状態
光軸が合っている状態
一方の視軸調整とは望遠鏡を2つ並べて両目で見る装置(つまり双眼鏡)の左右の光軸を平行にすること。
理想的には上の絵のように光軸を合わせた望遠鏡を二つ並べて視軸を合わせれば完璧な双眼鏡が出来る。
でもそれは双眼鏡を一から作るときの話で、既存の双眼鏡を調整をする時には視軸と光軸の両方を同時に合わせることは出来ないはず。
双眼鏡の場合
倍率が低いので光軸が多少ズレてても
問題にならないけど
視軸がズレた状態では
使い物にならないので
視軸の方を優先して合わせることになる。
すると多くの場合こうなる。
視軸は合っているけど光軸はズレた状態。
平行器での調整は
視軸を平行にすることしか出来ないので
左右の光軸が同じ方向にズレていても
分からない。
平行器一台(一つの眼幅)で
視軸調整された双眼鏡は
ほぼこの状態になっていると思われる。
これだと光軸がズレている以前に
双眼鏡の眼幅を変えた時に
視軸がズレる現象が起きる。
自分の眼幅と同じ平行器で
調整されていれば
実用に支障はないけど、、
やっぱり光軸が大きくズレてたら
双眼鏡の真の実力を
引き出せないのでは?
とねずみは考えている。
なので
視軸調整を行う中で光軸もできる限り
良いところに持っていきたい
というのがねずみの考え。
少しヒントがあったけど
その方法はつまり・・・
それを最初に語りだすと
ややこしくなるので
まずは双眼鏡の視軸調整機構について
説明する。
双眼鏡の視軸調整機構には
大きく分けて2種類ある。
1.プリズムを動かすタイプ
2.対物レンズを動かすタイプ
直感的に分かりやすいのは
1のプリズムを動かすタイプ。
プリズムを左右からイモネジで押す構造のもので、Nikonのミクロンを真似た形の日本製双眼鏡にも多い。
ZEISS以外の古いドイツ製双眼鏡にも
見られる構造だ。
矢印の部分がイモネジで
鏡体の外からイモネジを操作する。
構造を絵にするとこんな感じ。
イモネジを締め込んだ量がそのままプリズムの移動量になるので直感的にわかりやすくて調整自体はやりやすい。
注意点として、動かしたい方向のネジを先に緩めてから押す側のネジを締めないと、プリズムに過大な圧力がかかってプリズムが割れてしまう。
また視軸を追い込もうとして
何度も調整を繰り返すと
プリズムに傷がついたり
イモネジのスリワリ
(マイナスドライバーをかける部分)
やメネジが摩耗してくる。
何かと破損のリスクが多くて気を使うので、ねずみは出来ればこのタイプの調整はやりたくない。
2の対物レンズを動かすタイプは
二重偏心環を使うものがほとんどで
ZEISSのポロはほぼ全てこのタイプ。
戦後の日本製ポロもZEISSを真似てるのでこのタイプが多い。
偏心した対物レンズ枠の外側にもう一つ偏心したリングがはまっていて、この2つを回転させることでレンズの位置を動かす構造になっている(写真は分かりやすいように対物レンズ押さえのリングを外したところ)
調整をする時はまず押さえのリングをカニ目レンチで緩める。
カニ目が滑ってレンズを傷つけるといけないので、ねずみは丸く切ったゴムシートをレンズの上に乗せて保護している。
この押さえのリングは完全に外してしまうと対物レンズが落っこちるので緩めるだけにしておく。
(一部Nikonなどリングを外さないと
偏心環を回せない機種もある)
外側からイモネジで回転止めしてあるものはこれも緩める。
すると対物レンズ枠と外側の偏心環がそれぞれ自由に回転できるようになる。
ねずみはいつも爪楊枝を使ってこんな風に回して調整している。
この構造を絵で説明すると
左が外側の偏心環で、右が対物レンズと偏心したレンズ枠が一体になったもの。
この2つの重ね合わせでレンズの位置が決まる
内側と外側それぞれのリングの偏心量は等しくなっていて、仮に偏心量を1とすると
この状態はレンズの偏心量が0で
鏡筒の中心と一致している。
偏心環の肉厚の側を同じ位相に持ってくるとレンズの偏心量は2となる。
90°ずらすとルート2で1.414・・・
このように内外の偏心環を回すことでレンズの位置が移動する。
これが基本的な構造。
偏心環の回転に対して移動量が一定じゃないところが直感的に分かりづらいけど、プリズム式のような破損のリスクが少ないので徹底的に視軸を追い込むにはこっちの方がやりやすい。
プリズムもしくはレンズが
動かせるという事は分かったけど
これでどう視軸を調整するのか?
それは次の記事で
詳しく説明していくので
乞うご期待。
視軸調整について書いてみようと思う。
ねずみは何の知識も無いところから
スタートしたので最初はやり方が
全くわからなかった。
というか素人が手を出しちゃ行けない
領域だと思っていた。
最初の方の記事で書いたけど
平行器を自作したところから
世界が変わって、今ではそれなりに
精度のいい調整が出来るように
なったと思っている
、、まだまだ修行中ですけどね。
視軸調整については、
まとまった文献も見つからないし
ネットで調べても具体的な
調整方法まで説明しているサイトは
皆無と言っていいと思う。
唯一yamacaさんという方のページが
視軸調整の考え方を詳しく
説明されているので
参考にさせていただいた。
今回紹介するノウハウは
そんな断片的な情報のツギハギと、
ねずみの今までの経験から
導き出したものである。
間違いもあるかもしれないので参考に
される方は自己責任でお願いしたい。
そしてもっと正確な情報を
お持ちの方がいれば是非教えてほしい!
最初に
ねずみの理解では双眼鏡において
「光軸」と「視軸」は
本質的に異なる。
('23.2.19追記: この記事では双眼鏡の光学系全体の光軸のことを視軸と呼んでいます。正確には視軸とは眼球が見ている方向のことですが、それとは異なる意味合いで使っています)
望遠鏡で言う光軸調整は
対物レンズと接眼レンズの中心を
一致させることである。
これがズレていると
本来の性能が出ない。
(下図の赤線は光の経路では無く
光学系全体が向いている方向を
擬似的に表しています。)
光軸がズレた状態
光軸が合っている状態
一方の視軸調整とは望遠鏡を2つ並べて両目で見る装置(つまり双眼鏡)の左右の光軸を平行にすること。
理想的には上の絵のように光軸を合わせた望遠鏡を二つ並べて視軸を合わせれば完璧な双眼鏡が出来る。
でもそれは双眼鏡を一から作るときの話で、既存の双眼鏡を調整をする時には視軸と光軸の両方を同時に合わせることは出来ないはず。
双眼鏡の場合
倍率が低いので光軸が多少ズレてても
問題にならないけど
視軸がズレた状態では
使い物にならないので
視軸の方を優先して合わせることになる。
すると多くの場合こうなる。
視軸は合っているけど光軸はズレた状態。
平行器での調整は
視軸を平行にすることしか出来ないので
左右の光軸が同じ方向にズレていても
分からない。
平行器一台(一つの眼幅)で
視軸調整された双眼鏡は
ほぼこの状態になっていると思われる。
これだと光軸がズレている以前に
双眼鏡の眼幅を変えた時に
視軸がズレる現象が起きる。
自分の眼幅と同じ平行器で
調整されていれば
実用に支障はないけど、、
やっぱり光軸が大きくズレてたら
双眼鏡の真の実力を
引き出せないのでは?
とねずみは考えている。
なので
視軸調整を行う中で光軸もできる限り
良いところに持っていきたい
というのがねずみの考え。
少しヒントがあったけど
その方法はつまり・・・
それを最初に語りだすと
ややこしくなるので
まずは双眼鏡の視軸調整機構について
説明する。
双眼鏡の視軸調整機構には
大きく分けて2種類ある。
1.プリズムを動かすタイプ
2.対物レンズを動かすタイプ
直感的に分かりやすいのは
1のプリズムを動かすタイプ。
プリズムを左右からイモネジで押す構造のもので、Nikonのミクロンを真似た形の日本製双眼鏡にも多い。
ZEISS以外の古いドイツ製双眼鏡にも
見られる構造だ。
矢印の部分がイモネジで
鏡体の外からイモネジを操作する。
構造を絵にするとこんな感じ。
イモネジを締め込んだ量がそのままプリズムの移動量になるので直感的にわかりやすくて調整自体はやりやすい。
注意点として、動かしたい方向のネジを先に緩めてから押す側のネジを締めないと、プリズムに過大な圧力がかかってプリズムが割れてしまう。
また視軸を追い込もうとして
何度も調整を繰り返すと
プリズムに傷がついたり
イモネジのスリワリ
(マイナスドライバーをかける部分)
やメネジが摩耗してくる。
何かと破損のリスクが多くて気を使うので、ねずみは出来ればこのタイプの調整はやりたくない。
2の対物レンズを動かすタイプは
二重偏心環を使うものがほとんどで
ZEISSのポロはほぼ全てこのタイプ。
戦後の日本製ポロもZEISSを真似てるのでこのタイプが多い。
偏心した対物レンズ枠の外側にもう一つ偏心したリングがはまっていて、この2つを回転させることでレンズの位置を動かす構造になっている(写真は分かりやすいように対物レンズ押さえのリングを外したところ)
調整をする時はまず押さえのリングをカニ目レンチで緩める。
カニ目が滑ってレンズを傷つけるといけないので、ねずみは丸く切ったゴムシートをレンズの上に乗せて保護している。
この押さえのリングは完全に外してしまうと対物レンズが落っこちるので緩めるだけにしておく。
(一部Nikonなどリングを外さないと
偏心環を回せない機種もある)
外側からイモネジで回転止めしてあるものはこれも緩める。
すると対物レンズ枠と外側の偏心環がそれぞれ自由に回転できるようになる。
ねずみはいつも爪楊枝を使ってこんな風に回して調整している。
この構造を絵で説明すると
左が外側の偏心環で、右が対物レンズと偏心したレンズ枠が一体になったもの。
この2つの重ね合わせでレンズの位置が決まる
内側と外側それぞれのリングの偏心量は等しくなっていて、仮に偏心量を1とすると
この状態はレンズの偏心量が0で
鏡筒の中心と一致している。
偏心環の肉厚の側を同じ位相に持ってくるとレンズの偏心量は2となる。
90°ずらすとルート2で1.414・・・
このように内外の偏心環を回すことでレンズの位置が移動する。
これが基本的な構造。
偏心環の回転に対して移動量が一定じゃないところが直感的に分かりづらいけど、プリズム式のような破損のリスクが少ないので徹底的に視軸を追い込むにはこっちの方がやりやすい。
プリズムもしくはレンズが
動かせるという事は分かったけど
これでどう視軸を調整するのか?
それは次の記事で
詳しく説明していくので
乞うご期待。
コメント
コメント一覧 (2)
思ったのですが,国産の双眼鏡で偏芯リングを使った双眼鏡の対物の視軸を調整していると,思うことがあります.
偏芯リングと対物リングは,結構,ガタがあって,このガタだけで物が2重に見えたり合ったりします.
思いついて,指にゴムサック(百均で売ってる事務仕事用のやつ)をし,これで対物を直接触って,ガタの幅の中で調整して最終締め付けリングを締めると,実に簡単に調整できてしまいます.特に市販品で狂っている双眼鏡を調整する場合,工場出荷段階ではちゃんと公差の中に入っていたわけですから,ガタの幅の中でずれたと考えて良いでしょう.だから,偏芯リングはいっさい動かさないで,対物直にズリズリ移動で,まず一発で調整できます.
もちろん,全分解して掃除した場合は,さすがに偏芯リングまで動かさないとならないですが,そうでなければ,なかなか簡単で楽ですよ.
mouse830
がしました
いつもコメントありがとうございます
国産のポロって結構ガタありますよね〜
ガタの範囲で直せる程度ならその方が早いですね。
分解清掃までやるとこのガタが厄介だったりします。
偏心リングで調整したのに最後に締め付けたら
ガタの分でズレるとか。。
なので調整の時は
偏心リングの横に付いてる止めネジを締めて
ガタを詰めてから平行器で覗くようにしています。
私は止めネジが無い機種は苦手ですね^^;
また秀さん自作の平行器の話も聞かせてください〜
mouse830
がしました