双眼鏡の左右の視軸(光軸)を
検査する装置「光軸検査器」
通称「平行器」の開発について
書いてきましたが。
今回はいよいよ集大成
第3世代のお話です。
この見た目だけで
第2世代との違いが分かった方は
相当の平行器マニアでしょう
・・・ねずみ以外に平行器マニアが
存在するのかは分かりませんが。
第2世代と並べてみます
次にアクリルで作った
モックアップをお見せします。
・・・よく分からないですよね。
第2世代からの
変更点は大きく三つあるので
それらを順番に説明していこうと思う。
まず一つ目の変更点。
第2世代で使っていた
プレート型のハーフミラーを
第3世代ではキューブ型の
ビームスプリッターに変更している
これは光学性能の向上が目的ではなく
ミラーの接着を無くすことによる
耐久性の向上が主な目的。
第2世代のハーフミラーは
ベースに小さい面積で接着していて
落下時等の強い衝撃や
温度変化による熱応力、
校正時のネジ締め付けによる
台座の歪みによって
接着が剥がれてしまう心配が
どうしても付きまとっていた。
弾性のあるソフトタイプの
接着剤を使えば
そのような破損は防げる反面
ミラー位置の規制が甘くなり
精度面で問題があるので
ねずみはあえてハードタイプの
強力な接着剤を使っていたのだが
それでも耐久性については
やや劣る仕様となっていた。
この耐久性の課題に対し第3世代は
キューブ型のビームスプリッターを
止めネジで筐体に直接固定することで
クリアしている。
但し、ビームスプリッターの使用には
コスト面で非常に大きな課題があって
品質の保証された国産品であれば
それだけで3万円は超えてしまうので
一般に販売する上ではかなり
ハードルの高い値段設定に
なってしまう。
そこでねずみは
安く手に入る中国製のものを
いくつか購入して
その中から精度の良い個体だけを
選別して使うことで
品質とコストを両立しているのだ。
・・・ん??販売するのかって?
それは記事の最後に報告しますね。
続いて二つ目の変更点は
光軸調整ユニットの取り付け位置と
形状の変更だ。
第2世代はハーフミラーを接着した
ユニット自体を光軸調整機構として
使用していたため
覗き穴の側に光軸調整ネジがあり
ネジを回すレンチが覗き穴にかかって
邪魔になるデメリットがあった。
第3世代では覗き穴から
離れた位置にネジがあるため
そのような心配は無くなった。
また、平行器に単眼鏡を密着させる
ことも出来るようになったので
単眼鏡をテープ等で固定すれば
専用の平行器調整台が無くても
ある程度の調整が出来る利点もある。
・・・専用の平行器調整台??
それも最後に紹介したいと思います。
さらに第3世代では
光軸調整用ユニットを
L字型の部材から四角のパイプ型に
変更している。
第2世代のクセとして
左右の光軸調整の際に
視界が斜め上下に動いてしまう
現象があったのだが
これは、左右光軸調整ネジの軸力で
L字部材の垂直面がたわんで
ミラーを接着している水平面が
上に持ち上げられる。と言う
メカニズムで発生していた。
第3世代ではこの部材を
角パイプに変更したことで
上下均等にたわみが発生して
ミラーが持ち上がる現象が無くなり
視界が上下に動く現象を
排除することが出来た。
上下左右を完全に独立して
光軸調整出来るようになったので
調整も大分やりやすくなったと思う。
最後に三つ目の変更点。
見た目から違いが分かった人は凄い!
実は、三つ目は形状の変更ではなく
工程の変更なのである。
今まではハンドツールだけで
平行器を作っていたねずみ
工作精度の悪さは全て調整機構で
カバーしていたのだけど
個体間のばらつきが大きくて
毎回決まった狂い方をするものや
一年使っても全く狂わないものまで
個性強めの仕上がりになっていた。
この製造ばらつきを低減すべく
導入したのがこちら
HOZAN K-15改 ねずみスペシャル!
今回、詳細の説明は省くけど
高精度の卓上ボール盤をベースに
ねずみ独自の魔改造を加えた
スペシャル加工機なのだ!
改造箇所はざっと下記の通り。
・X-Yクロステーブル装着
・Z軸送り機構追加
・3軸デジタルリニアゲージ装着
・φ10ドリルチャック換装
・ドリルチャック抜け止めネジ追加
・超低速プーリー換装
・補剛メンバー装着
・透明保護カバー装着
等々・・・
このスペシャル加工機によって
穴位置や加工深さを
正確に狙えるようになり
加工精度が大幅に向上した。
ちなみに改造前の素の状態はこちら。
平行器の話からそれましたね。。
以上、三つの大きな変更により
耐久性、操作性、高精度を
実現した平行器が第3世代なのだ!
販売する、と言いましたが
開発中にいつもの量産癖が発動して
作りすぎてしまったので、
余った分を必要な方にお裾分けしよう
と言う程度です。
もし好評だったら
もうちょい作るかも知れません。
それと今回、これまで作ってきた
25mm角サイズに加えて
手が大きい方向けの
30mm角サイズも作ったので
こちらも少量ながら
出品予定です。
さらに「平行器調整台」の方も
そのうち出品しようかなと
思っています。
平行器の光軸を調整する際には
10倍以上の単眼鏡または
双眼鏡の片側を使って
像を拡大しながら調整する
必要があるので
そのための単眼鏡を固定して
調整をやりやすくするのが
この平行器調整台。
ステーの組み合わせを変えて
いろんな単眼鏡や双眼鏡に対応出来る
対物レンズ径の大きな双眼鏡を
使う場合には、レンズの前に
丸穴を開けた紙を置いて
レンズ径を絞ってやると良い。
オススメの双眼鏡は
PENTAXタンクローのズームモデルや
ビクセンのコンパクトズームなど
高倍率で底面に三脚ネジが着いていて
対物径の小さいもの。
もちろん単眼鏡でも良いのだけど
高倍率で性能の良いものが
ほとんど無いので
上記のような双眼鏡の片側を使うのが
ベストかなと思う。
平行器の方は10月中旬くらいから
ヤフオクで順次出品するつもりなので
気になる方は是非
「平行器」で検索して
チェックしてみてください。
平行器の開発に着手して早3年半
楽しみにしてくれていた方々
大変お待たせ致しました!
検査する装置「光軸検査器」
通称「平行器」の開発について
書いてきましたが。
今回はいよいよ集大成
第3世代のお話です。
この見た目だけで
第2世代との違いが分かった方は
相当の平行器マニアでしょう
・・・ねずみ以外に平行器マニアが
存在するのかは分かりませんが。
第2世代と並べてみます
次にアクリルで作った
モックアップをお見せします。
・・・よく分からないですよね。
第2世代からの
変更点は大きく三つあるので
それらを順番に説明していこうと思う。
まず一つ目の変更点。
第2世代で使っていた
プレート型のハーフミラーを
第3世代ではキューブ型の
ビームスプリッターに変更している
これは光学性能の向上が目的ではなく
ミラーの接着を無くすことによる
耐久性の向上が主な目的。
第2世代のハーフミラーは
ベースに小さい面積で接着していて
落下時等の強い衝撃や
温度変化による熱応力、
校正時のネジ締め付けによる
台座の歪みによって
接着が剥がれてしまう心配が
どうしても付きまとっていた。
弾性のあるソフトタイプの
接着剤を使えば
そのような破損は防げる反面
ミラー位置の規制が甘くなり
精度面で問題があるので
ねずみはあえてハードタイプの
強力な接着剤を使っていたのだが
それでも耐久性については
やや劣る仕様となっていた。
この耐久性の課題に対し第3世代は
キューブ型のビームスプリッターを
止めネジで筐体に直接固定することで
クリアしている。
但し、ビームスプリッターの使用には
コスト面で非常に大きな課題があって
品質の保証された国産品であれば
それだけで3万円は超えてしまうので
一般に販売する上ではかなり
ハードルの高い値段設定に
なってしまう。
そこでねずみは
安く手に入る中国製のものを
いくつか購入して
その中から精度の良い個体だけを
選別して使うことで
品質とコストを両立しているのだ。
・・・ん??販売するのかって?
それは記事の最後に報告しますね。
続いて二つ目の変更点は
光軸調整ユニットの取り付け位置と
形状の変更だ。
第2世代はハーフミラーを接着した
ユニット自体を光軸調整機構として
使用していたため
覗き穴の側に光軸調整ネジがあり
ネジを回すレンチが覗き穴にかかって
邪魔になるデメリットがあった。
第3世代では覗き穴から
離れた位置にネジがあるため
そのような心配は無くなった。
また、平行器に単眼鏡を密着させる
ことも出来るようになったので
単眼鏡をテープ等で固定すれば
専用の平行器調整台が無くても
ある程度の調整が出来る利点もある。
・・・専用の平行器調整台??
それも最後に紹介したいと思います。
さらに第3世代では
光軸調整用ユニットを
L字型の部材から四角のパイプ型に
変更している。
第2世代のクセとして
左右の光軸調整の際に
視界が斜め上下に動いてしまう
現象があったのだが
これは、左右光軸調整ネジの軸力で
L字部材の垂直面がたわんで
ミラーを接着している水平面が
上に持ち上げられる。と言う
メカニズムで発生していた。
第3世代ではこの部材を
角パイプに変更したことで
上下均等にたわみが発生して
ミラーが持ち上がる現象が無くなり
視界が上下に動く現象を
排除することが出来た。
上下左右を完全に独立して
光軸調整出来るようになったので
調整も大分やりやすくなったと思う。
最後に三つ目の変更点。
見た目から違いが分かった人は凄い!
実は、三つ目は形状の変更ではなく
工程の変更なのである。
今まではハンドツールだけで
平行器を作っていたねずみ
工作精度の悪さは全て調整機構で
カバーしていたのだけど
個体間のばらつきが大きくて
毎回決まった狂い方をするものや
一年使っても全く狂わないものまで
個性強めの仕上がりになっていた。
この製造ばらつきを低減すべく
導入したのがこちら
HOZAN K-15改 ねずみスペシャル!
今回、詳細の説明は省くけど
高精度の卓上ボール盤をベースに
ねずみ独自の魔改造を加えた
スペシャル加工機なのだ!
改造箇所はざっと下記の通り。
・X-Yクロステーブル装着
・Z軸送り機構追加
・3軸デジタルリニアゲージ装着
・φ10ドリルチャック換装
・ドリルチャック抜け止めネジ追加
・超低速プーリー換装
・補剛メンバー装着
・透明保護カバー装着
等々・・・
このスペシャル加工機によって
穴位置や加工深さを
正確に狙えるようになり
加工精度が大幅に向上した。
ちなみに改造前の素の状態はこちら。
平行器の話からそれましたね。。
以上、三つの大きな変更により
耐久性、操作性、高精度を
実現した平行器が第3世代なのだ!
販売する、と言いましたが
開発中にいつもの量産癖が発動して
作りすぎてしまったので、
余った分を必要な方にお裾分けしよう
と言う程度です。
もし好評だったら
もうちょい作るかも知れません。
それと今回、これまで作ってきた
25mm角サイズに加えて
手が大きい方向けの
30mm角サイズも作ったので
こちらも少量ながら
出品予定です。
さらに「平行器調整台」の方も
そのうち出品しようかなと
思っています。
平行器の光軸を調整する際には
10倍以上の単眼鏡または
双眼鏡の片側を使って
像を拡大しながら調整する
必要があるので
そのための単眼鏡を固定して
調整をやりやすくするのが
この平行器調整台。
ステーの組み合わせを変えて
いろんな単眼鏡や双眼鏡に対応出来る
対物レンズ径の大きな双眼鏡を
使う場合には、レンズの前に
丸穴を開けた紙を置いて
レンズ径を絞ってやると良い。
オススメの双眼鏡は
PENTAXタンクローのズームモデルや
ビクセンのコンパクトズームなど
高倍率で底面に三脚ネジが着いていて
対物径の小さいもの。
もちろん単眼鏡でも良いのだけど
高倍率で性能の良いものが
ほとんど無いので
上記のような双眼鏡の片側を使うのが
ベストかなと思う。
平行器の方は10月中旬くらいから
ヤフオクで順次出品するつもりなので
気になる方は是非
「平行器」で検索して
チェックしてみてください。
平行器の開発に着手して早3年半
楽しみにしてくれていた方々
大変お待たせ致しました!
コメント
コメント一覧 (2)
自分も欲しいです.
なんせ,自分は綺麗に何かを作るってのは,からきしダメなので.
ところで,ひとつ提案なのですが,平行器の接眼部にWebカメラを取り付けられるようにするってのは,どうでしょうか?
つまり双眼鏡と平行器を三脚に取り付けておいて,遠くの電信柱などに向けておいて,その像はノートPCとかスマホの画面に映しておいて,それを見ながら自分は双眼鏡の前なり横に立って調整作業ができるようにするって作戦です.
対物レンズに偏心リング2個で調整の場合,対物側をいじりながら像が見られるなら,こんな便利なことはない,と思ってるのですけど.
mouse830
がしました
お褒めの言葉ありがとうございます。
大事なのは見た目よりも中身ですけどね、、
作り続けていたら外見も仕上がってしまいました。
是非、ひでさんにも使ってみていただきたいです。
双眼装置にWEBカメラを取り付けるのは
良いアイデアですね!
私もいつかやってみたいと思っています。
海外の本で
binoculars fallacy&factと言う本があって
日本のAmazonでも買えるのですが
実は、その中に平行器のビームスプリッターの
側面側にカメラを付けてモニターに映すと言う
アイデアの概念図が載っています。
それをさらに発展させて
取り込んだ画像を定量的に測定して
偏心環の角度をいくつ回せば光軸が合うか
なんてのも計算できるんじゃ無いかな〜?
とか、考えたりしています。
mouse830
がしました