「双眼鏡の視軸調整その3」
の記事を書いてから
もう1年も経ってしまったようだが
そろそろ続きを書いてみようと思う。
前回の記事はコチラ↓
http://mouse830.livedoor.blog/archives/10100337.html
これまで二重偏心環タイプの
視軸調整の方法について
詳しく紹介してきたが今回は
「視軸を中心軸に合わせる方法」を
紹介しようと思う。
文献等の情報が見つからないので
ここで紹介するほとんどは
ねずみが試行錯誤して独自に
たどり着いた方法である。
もっと正確な情報をご存知の方は
是非アドバイスお願いしたい。
まず中心軸とはなにか?
眼幅を合わせるために左右の鏡筒を
開閉する時の回転中心となる軸のことで
一軸式の場合は真ん中の軸を指す。
タンクローとか二軸式のものは
この軸がないけど便宜上、真ん中に
仮想の中心軸があると考えれば良い。
そして
「視軸を中心軸に合わせる」とは
左右の視軸の向きを中心軸と
一致させること。
これは「双眼鏡の視軸調整その1」
の記事でも触れているけど↓
http://mouse830.livedoor.blog/archives/9859556.html
一つの眼幅で視軸を合わせた時。
つまり平行器1台で視軸を合わせた時
左右の視軸は平行になるが
中心軸と一致しているかは分からない。
例えばこんな感じで両方とも揃って
左にズレているなんてこともあり得る。
この状態でも視軸は合っているけど
眼幅を変えた時に視軸がズレる
という大きな問題が生じるのだ。
・・・と言っても
ピンと来ないかもしれない。
そこで
この現象を分かりやすくするために
こんなものを作ってみた。
名付けて「視軸見える君1号」
双眼鏡の視軸を模式化したもので
矢印が左右の視軸の向きを表している。
例えば眼幅60mmの位置で
視軸を合わせた時、上の写真のように
左右とも左にズレていたとする。
(実際はどちらにズレているか
この時点では分からない)
この状態で眼幅70mmに広げると
こうなる。
左の視軸が上にズレて
右の視軸は下にズレるのだ。
眼幅70mmの平行器を通して見た時の
視界はこうなる。
左の視界は上に動き
右の視界は下に動く。
(目標物の動きとは逆)
60mmで左右とも上にズレていた場合は
70mmにするとこうなる。
これは外方ズレの状態で
平行器を通した視界はこうなる。
もうお分かりだと思うが
眼幅60mmでも70mmでも
視軸が一致してる状態になれば
視軸と中心軸が一致したことになるのだ。
ねずみはこの調整をとても重視している。
眼幅を変えても視軸がズレないってのは
もちろんだけど
視軸が中心軸に合っているほうが
どちらかに偏っているよりも
見え味が良いような気がするからだ。
実際のところ
ねずみはこれを見分けるほどの
眼力をもっていないし
そんな気がするだけなのだけど。。
中心軸と視軸が一致してる状態が
一番ニュートラルな状態であって
その双眼鏡の性能が最大限
引き出されてるのでは?思っている。
ねずみがわざわざ眼幅違いの
平行器を作っているのも
この中心軸合わせのために他ならない。
作業的には
60mmで視軸を合わせて
70mmで視軸を合わせて
また60mmで合わせて
70mmで合わせて・・・
を繰り返していけばいつかは
中心軸に合うことになるが
この方法では合うまでに
なかなか時間がかかる。
ねずみの場合は
基本的には眼幅60mmの状態だけで
この調整を行なっている。
手順としては
まず60mmで視軸を合わせてから
70mmにした時のズレ方を確認する。
ここで「視軸見える君」を使って
60mmの時の視軸が
どっちにズレていたのか?を推定する。
例えば60mmの時の視軸が
左右とも左にズレていると分かれば
60mmの状態で視軸を少し右に
動かしてみて
70mmでのズレの変化を確認する。
足りなければもう少し右にずらして・・
を繰り返す。
そして70mmにしても視軸がズレない
状態になったところで、最後に
自分の眼幅と同じ64mmの平行器で
精密調整して完了。と言った感じ。
今のところ
このやり方が一番効率が良いのだけど
もっと良い方法をご存知の方は
是非教えて欲しい。
これまでいろいろな双眼鏡の修理記録や レビュー記事なんかも書いて来たけど
何故かこの視軸調整の記事が
一番アクセス数が多い。
いったいどこに需要があるのか
分からないのだけど、、
多くの方が読んでくれているようなので
今後もこのネタは続けて行きたいと思う。
次回は内方ズレ?外方ズレ?
どこを狙って視軸調整するのが良いか。
市販の双眼鏡はどこを狙ってるのか?
その辺りについて書いてみようと思う。
いつになるかはわかりませんが
お楽しみに。
の記事を書いてから
もう1年も経ってしまったようだが
そろそろ続きを書いてみようと思う。
前回の記事はコチラ↓
http://mouse830.livedoor.blog/archives/10100337.html
これまで二重偏心環タイプの
視軸調整の方法について
詳しく紹介してきたが今回は
「視軸を中心軸に合わせる方法」を
紹介しようと思う。
文献等の情報が見つからないので
ここで紹介するほとんどは
ねずみが試行錯誤して独自に
たどり着いた方法である。
もっと正確な情報をご存知の方は
是非アドバイスお願いしたい。
まず中心軸とはなにか?
眼幅を合わせるために左右の鏡筒を
開閉する時の回転中心となる軸のことで
一軸式の場合は真ん中の軸を指す。
タンクローとか二軸式のものは
この軸がないけど便宜上、真ん中に
仮想の中心軸があると考えれば良い。
そして
「視軸を中心軸に合わせる」とは
左右の視軸の向きを中心軸と
一致させること。
これは「双眼鏡の視軸調整その1」
の記事でも触れているけど↓
http://mouse830.livedoor.blog/archives/9859556.html
一つの眼幅で視軸を合わせた時。
つまり平行器1台で視軸を合わせた時
左右の視軸は平行になるが
中心軸と一致しているかは分からない。
例えばこんな感じで両方とも揃って
左にズレているなんてこともあり得る。
この状態でも視軸は合っているけど
眼幅を変えた時に視軸がズレる
という大きな問題が生じるのだ。
・・・と言っても
ピンと来ないかもしれない。
そこで
この現象を分かりやすくするために
こんなものを作ってみた。
名付けて「視軸見える君1号」
双眼鏡の視軸を模式化したもので
矢印が左右の視軸の向きを表している。
例えば眼幅60mmの位置で
視軸を合わせた時、上の写真のように
左右とも左にズレていたとする。
(実際はどちらにズレているか
この時点では分からない)
この状態で眼幅70mmに広げると
こうなる。
左の視軸が上にズレて
右の視軸は下にズレるのだ。
眼幅70mmの平行器を通して見た時の
視界はこうなる。
左の視界は上に動き
右の視界は下に動く。
(目標物の動きとは逆)
60mmで左右とも上にズレていた場合は
70mmにするとこうなる。
これは外方ズレの状態で
平行器を通した視界はこうなる。
もうお分かりだと思うが
眼幅60mmでも70mmでも
視軸が一致してる状態になれば
視軸と中心軸が一致したことになるのだ。
ねずみはこの調整をとても重視している。
眼幅を変えても視軸がズレないってのは
もちろんだけど
視軸が中心軸に合っているほうが
どちらかに偏っているよりも
見え味が良いような気がするからだ。
実際のところ
ねずみはこれを見分けるほどの
眼力をもっていないし
そんな気がするだけなのだけど。。
中心軸と視軸が一致してる状態が
一番ニュートラルな状態であって
その双眼鏡の性能が最大限
引き出されてるのでは?思っている。
ねずみがわざわざ眼幅違いの
平行器を作っているのも
この中心軸合わせのために他ならない。
作業的には
60mmで視軸を合わせて
70mmで視軸を合わせて
また60mmで合わせて
70mmで合わせて・・・
を繰り返していけばいつかは
中心軸に合うことになるが
この方法では合うまでに
なかなか時間がかかる。
ねずみの場合は
基本的には眼幅60mmの状態だけで
この調整を行なっている。
手順としては
まず60mmで視軸を合わせてから
70mmにした時のズレ方を確認する。
ここで「視軸見える君」を使って
60mmの時の視軸が
どっちにズレていたのか?を推定する。
例えば60mmの時の視軸が
左右とも左にズレていると分かれば
60mmの状態で視軸を少し右に
動かしてみて
70mmでのズレの変化を確認する。
足りなければもう少し右にずらして・・
を繰り返す。
そして70mmにしても視軸がズレない
状態になったところで、最後に
自分の眼幅と同じ64mmの平行器で
精密調整して完了。と言った感じ。
今のところ
このやり方が一番効率が良いのだけど
もっと良い方法をご存知の方は
是非教えて欲しい。
これまでいろいろな双眼鏡の修理記録や レビュー記事なんかも書いて来たけど
何故かこの視軸調整の記事が
一番アクセス数が多い。
いったいどこに需要があるのか
分からないのだけど、、
多くの方が読んでくれているようなので
今後もこのネタは続けて行きたいと思う。
次回は内方ズレ?外方ズレ?
どこを狙って視軸調整するのが良いか。
市販の双眼鏡はどこを狙ってるのか?
その辺りについて書いてみようと思う。
いつになるかはわかりませんが
お楽しみに。
コメント
コメント一覧 (8)
記事とは話題がそれますが,先日,大事にしていた双眼鏡の1台が視軸ずれを起こしました.狂ってしまったものは,元に直すしかないのですけど,少々,考えました.
狂った双眼鏡は,私が分解調整とかしてなくて,中古ですけど恐らくメーカーから出てきたままの製品です.まぁ,対物レンズの締め付けが弱かったとかかもしれませんが,車の座席に置いて走っていただけなんですね.その振動だけで狂った様です.
視軸の調整の仕方は,ここではさておき・・・・狂わないように使うには,やっぱり縦にして持ち運ぶんでしょうかねぇ? 双眼鏡ケースは,大抵,双眼鏡を立てて,しかも対物を上にする構造のケースが多い気がしてます.上下は,どっちかあやふやなケースもありますが,革製のケースは対物が上です.
さて,対物が上になるように立てておくのが狂い難い保管の仕方なのでしょうか? ねずみ様のご意見は如何でしょうか?
mouse830
がしました
松脂は考えてもみませんでした.
琥珀って名前があるように,化石化しても全然変色とかしないので,松脂の耐久性と言うのは凄いんでしょうね.有機物なのに信じられません.中に虫が固められて入っている化石もあるんですから,石油を除けば地球で最も耐久性のある有機物でありましょう.
松脂で固定ってのはやってみたくなりますね.
でも,固化してから後は,もう砕かないと取れないので再調整は不便そうですね.
やっぱ,戸棚に並べて置くなら対物が下ですかね.
移動のさいは,ずっと首から下げる.
革ケースが対物上向きに作ってあるのは,双眼鏡を出す時に引っ張り難いんですけど,大抵,上向きですね.
4mも5mも直径のある天文台の望遠鏡も,休める時は対物(鏡)が上を向いた状態で止まっています.「どうして,対物を上に向けるのですか?」と聞いたら,「休めるためです」とのことでした.
対物が横向いてて面が立っているとか,裏返しで真っ逆さまに地面を見ている状態よりは,「休んでいる」ような気がする・・・程度のことみたいです.これって,光学全体に共通しているのかもしれませんですね.
狂った双眼鏡は,7×50で見かけ視野が77度くらいもある面白いやつでしたが,完品だったので開けるのがしのびないですわ.(泪)
mouse830
がしました
それは,純粋な松脂でななくて,光学研磨に使うウッド系ピッチではありませんか?
https://kokonoeele.co.jp/wp/?page_id=838&lang=ja
なんで九重って電気会社が光学研磨ピッチを売ってるのか良く分かりませんが,業界ではとても有名です.ブローンアスファルトってのは,ほんとに道路のアスファルトと同じ質のものです.でも,ウッド系というのは何かの樹脂なんでしょう.松か杉の一種かと想像してます.
レンズを作るなら,山のように使いますので,それの一部をちょいちょいとレンズ枠に入れて固定強度を上げようとする工夫なのかなぁ,と思いました.極めて職人さん的な発想で感心しますね.
温度で軟化しやすくするなら(融点を下げるなら),テレピン油を少々入れれば良いですけど,ネジを分解するなら灯油に気長に入れて置けば良いのかなぁ・・・まぁ,今時ならネジロックを少し入れる方が現代的かも.
そうですね.双眼鏡のケースを対物下にすると,接眼部を引っ張るやつが出るでしょうから,羽を曲げる可能性がありますね.納得しました.
でも,対物を上にしておくスタンドは作り難そうですね.ポロタイプ限定にしてサイズを50㎜と35㎜の2種類にして,木製にして,本立てみたいに5台くらい並べて置けるスタンドが良いかなぁ・・・
mouse830
がしました
めめめめっそうもありません.
んな高いもん,よう買いまへんって.
EIKOWというメーカーが,昔,出していた普通のポロタイプです.77度は,さすがにちょっと見渡せなくて(まつ毛がガラスを擦る)70度ちょいくらいですけど,そんなに黒いソラマメ現象も起きにくいので見やすいです.これで見る星空は,さすがに楽しいです.
本体のJBコードから調べるとKimura kougaku seisakujyo だそうです.木村光学製作所というのは,元は中野区神明町にあったようですが,検索しても会社が出てこないので社名を変えて移転したんですね.青森の木村光学株式会社か,京都の木村製作所,新潟の木村光機あたりがなぁ,と想像してます.
まだ,さっぱり自分のブログってのを書いて無いのですが,そんときは写真入りで紹介します.
あ,対物にカビを見つけました.やっぱり分解掃除と再調整ですわ.
mouse830
がしました