今回は像の倒れについて
書いてみようと思う。
視軸調整については何回か書いてるけど
その前に行うべき像の倒れ調整について
まだちゃんと書いて無かった。
これまた
正確な情報が見つからない中で
ねずみがいろいろ試してたどり着いた
独自のノウハウなので
参考にする方は自己責任で。
そしてもっといい方法をご存じの方は
是非教えて欲しいし
間違いがあったら指摘して欲しい。
まず。
像の倒れとは何か?
ゾウの倒れでは無い!
・・・気を取り直して。
像の倒れとは
双眼鏡を覗いた時に
像が傾いている角度のこと。
プリズム双眼鏡って
レンズで上下左右が反転した像を
プリズムで何回か反射させる事で
正立像に直して見ているものなので
プリズムの反射面間の角度がズレると
ピッタリ正立にならずに
ちょっと傾いた状態になる。
例えばポロ式の場合
ポロプリズム2つの交差する角度が
90°からズレると倒れが発生する。
プリズムの角度誤差に対して
像は2倍の角度で倒れる。
倒れ差は
左右で倒れっぷりが違う場合の
角度差のこと。
中古の双眼鏡を買う時
視軸のズレを気にする人が
多いと思うけど
像の倒れを気にする人はそんなに
いないんじゃ無いかな?
しかしビンテージ双眼鏡ともなると
像の倒れが出てるものは
結構あるので注意が必要だと思う。
ねずみが以前紹介した
デルトリンテム1Qもそうだった。
この時は平行器を通して
約100m先にある標識の柱を見た時に
傾きが一致していないので気がついた。
小さい丸の中が平行器の
プリズムを通った側の視界。
倒れ差0.5°〜1°くらいかな?
JIS規格では高性能品のAA級で
像の倒れ±1.0°以内
像の倒れ差30分、つまり0.5°以内
となっている。
ねずみの感覚ではこれは結構緩くて
0°狙いでビタビタに合わせた方が
覗いていて気持ちいい。
それと倒れよりも倒れ差の方が重要で
倒れ差が0.5°もあると結構違和感がある。
例えば下のCADで引いた線。
赤線に対して青線は0.5°傾いている
ぱっと見で傾いてるって分かる。
0.5°って結構大きいでしょ?
このデルトリンテム1Qを調整した時は
レンズまで組み上げた状態で
平行器を通して覗いた時に
道路標識の柱の傾きが一致するように
プリズムの角度を動かして調整した。
倒れ差0.5°以内には合わせられている
と思うけど。絶対的な倒れの調整が
出来ないのでこの方法では
共倒れが回避出来ないことは
過去に書いている↓
http://mouse830.livedoor.blog/archives/8978567.html
それから色々な方法を試して
絶対的な倒れまで調整できるように
なったので公開しようと思う。
用意するものは、またもや平行器
やり方はホントに単純で
まず一本真っ直ぐな線を描いた紙を
壁に貼る。
それから
プリズムだけを組み付けた双眼鏡を
三脚にセットして
片側のプリズムだけ平行器を通して
壁の線を見る。
この時、平行器の片側は
双眼鏡のプリズムを通さずに
直接壁の線を見る。
絵にするとこんな感じ
この状態で平行器を覗いて
2つの線が平行になるように
プリズムの傾きを調整するのだ。
例としてNikonの8×30Aを
調整した時の様子
上にある線が双眼鏡のプリズムを
通った方で、微妙に左上がりに
傾いているのがわかると思う。
この倒れをプリズムの角度を
変えることで調整していく。
プリズムの角度調整は
押さえ金具を少し緩めておいてから
プリズムのコバ(側面)を押して
ガタの範囲内でズラすことで行う。
注意点としては
絶対にマイナスドライバー等の
金属の道具を使わないこと!
プリズムのガラスは非常に脆いので
硬いものを当てるのは厳禁。
ねずみは先端を削った割り箸なんかを
使っている。
もともとのプリズムのガタだけでは
調整範囲を超えている場合
プリズムの側面をダイヤモンド砥石等で
うっすら削ってガタを増やす。
調整後はこちら
かなり平行になってる。
完璧に調整した平行器であれば
平行器単体の倒れ誤差は0°なので
壁の線を基準にすれば
絶対的な0°を基準に調整が出来る、
つまり共倒れも回避出来るという事。
さっきの赤線と青線の絵で見たように
0.5°のズレは人間の目で容易に
判別可能なことが分かっているので
目で見て完全に平行と感じるところ
まで持っていけば
倒れは0.5°以内に調整出来ている
と言うことになる。
最終チェックは左右のプリズムを
通した視界を平行器で重ねて見る。
一直線に重なって見えれば
倒れ差も0.5°以内に収まっている。
と、こんな具合でやるのが
最近のねずみの定番になっている。
ここまで倒れ差を取り除いた双眼鏡は
覗いていて本当に気持ちがいいし
長時間覗いても酔いにくい。
この方法では
平行器を通して見える視界が
広ければ広いほど傾きが判別しやすく
なって精度が良くなる。
倒れ調整専用に
覗き窓がやたら大きくて
眼幅が極端に狭い平行器を作っても
良いのかもしれない。
こんなやつ
今度暇があったら作ってみようかな。
・・・余談ですが
ゾウの倒れのネタのために
わざわざ粘土でゾウを作ったので
ついでに
当ブログのメインキャラクター
ねずみ工作研究所のねずみも
作っておいた。
何を見ているんでしょうね?
彼は今後もこのブログに
登場するかも知れません。
話がそれたけど、、
以上が最新の
ねずみ流像の倒れ調整。
もっと良い方法が見つかれば
その2を書いてみようと思います!
書いてみようと思う。
視軸調整については何回か書いてるけど
その前に行うべき像の倒れ調整について
まだちゃんと書いて無かった。
これまた
正確な情報が見つからない中で
ねずみがいろいろ試してたどり着いた
独自のノウハウなので
参考にする方は自己責任で。
そしてもっといい方法をご存じの方は
是非教えて欲しいし
間違いがあったら指摘して欲しい。
まず。
像の倒れとは何か?
ゾウの倒れでは無い!
・・・気を取り直して。
像の倒れとは
双眼鏡を覗いた時に
像が傾いている角度のこと。
プリズム双眼鏡って
レンズで上下左右が反転した像を
プリズムで何回か反射させる事で
正立像に直して見ているものなので
プリズムの反射面間の角度がズレると
ピッタリ正立にならずに
ちょっと傾いた状態になる。
例えばポロ式の場合
ポロプリズム2つの交差する角度が
90°からズレると倒れが発生する。
プリズムの角度誤差に対して
像は2倍の角度で倒れる。
倒れ差は
左右で倒れっぷりが違う場合の
角度差のこと。
中古の双眼鏡を買う時
視軸のズレを気にする人が
多いと思うけど
像の倒れを気にする人はそんなに
いないんじゃ無いかな?
しかしビンテージ双眼鏡ともなると
像の倒れが出てるものは
結構あるので注意が必要だと思う。
ねずみが以前紹介した
デルトリンテム1Qもそうだった。
この時は平行器を通して
約100m先にある標識の柱を見た時に
傾きが一致していないので気がついた。
小さい丸の中が平行器の
プリズムを通った側の視界。
倒れ差0.5°〜1°くらいかな?
JIS規格では高性能品のAA級で
像の倒れ±1.0°以内
像の倒れ差30分、つまり0.5°以内
となっている。
ねずみの感覚ではこれは結構緩くて
0°狙いでビタビタに合わせた方が
覗いていて気持ちいい。
それと倒れよりも倒れ差の方が重要で
倒れ差が0.5°もあると結構違和感がある。
例えば下のCADで引いた線。
赤線に対して青線は0.5°傾いている
ぱっと見で傾いてるって分かる。
0.5°って結構大きいでしょ?
このデルトリンテム1Qを調整した時は
レンズまで組み上げた状態で
平行器を通して覗いた時に
道路標識の柱の傾きが一致するように
プリズムの角度を動かして調整した。
倒れ差0.5°以内には合わせられている
と思うけど。絶対的な倒れの調整が
出来ないのでこの方法では
共倒れが回避出来ないことは
過去に書いている↓
http://mouse830.livedoor.blog/archives/8978567.html
それから色々な方法を試して
絶対的な倒れまで調整できるように
なったので公開しようと思う。
用意するものは、またもや平行器
やり方はホントに単純で
まず一本真っ直ぐな線を描いた紙を
壁に貼る。
それから
プリズムだけを組み付けた双眼鏡を
三脚にセットして
片側のプリズムだけ平行器を通して
壁の線を見る。
この時、平行器の片側は
双眼鏡のプリズムを通さずに
直接壁の線を見る。
絵にするとこんな感じ
この状態で平行器を覗いて
2つの線が平行になるように
プリズムの傾きを調整するのだ。
例としてNikonの8×30Aを
調整した時の様子
上にある線が双眼鏡のプリズムを
通った方で、微妙に左上がりに
傾いているのがわかると思う。
この倒れをプリズムの角度を
変えることで調整していく。
プリズムの角度調整は
押さえ金具を少し緩めておいてから
プリズムのコバ(側面)を押して
ガタの範囲内でズラすことで行う。
注意点としては
絶対にマイナスドライバー等の
金属の道具を使わないこと!
プリズムのガラスは非常に脆いので
硬いものを当てるのは厳禁。
ねずみは先端を削った割り箸なんかを
使っている。
もともとのプリズムのガタだけでは
調整範囲を超えている場合
プリズムの側面をダイヤモンド砥石等で
うっすら削ってガタを増やす。
調整後はこちら
かなり平行になってる。
完璧に調整した平行器であれば
平行器単体の倒れ誤差は0°なので
壁の線を基準にすれば
絶対的な0°を基準に調整が出来る、
つまり共倒れも回避出来るという事。
さっきの赤線と青線の絵で見たように
0.5°のズレは人間の目で容易に
判別可能なことが分かっているので
目で見て完全に平行と感じるところ
まで持っていけば
倒れは0.5°以内に調整出来ている
と言うことになる。
最終チェックは左右のプリズムを
通した視界を平行器で重ねて見る。
一直線に重なって見えれば
倒れ差も0.5°以内に収まっている。
と、こんな具合でやるのが
最近のねずみの定番になっている。
ここまで倒れ差を取り除いた双眼鏡は
覗いていて本当に気持ちがいいし
長時間覗いても酔いにくい。
この方法では
平行器を通して見える視界が
広ければ広いほど傾きが判別しやすく
なって精度が良くなる。
倒れ調整専用に
覗き窓がやたら大きくて
眼幅が極端に狭い平行器を作っても
良いのかもしれない。
こんなやつ
今度暇があったら作ってみようかな。
・・・余談ですが
ゾウの倒れのネタのために
わざわざ粘土でゾウを作ったので
ついでに
当ブログのメインキャラクター
ねずみ工作研究所のねずみも
作っておいた。
何を見ているんでしょうね?
彼は今後もこのブログに
登場するかも知れません。
話がそれたけど、、
以上が最新の
ねずみ流像の倒れ調整。
もっと良い方法が見つかれば
その2を書いてみようと思います!
コメント
コメント一覧 (4)
また,双眼鏡を覗いているネズミの「後ろ姿」がとても良いです.
今度は,ぜひ二人そろって双眼鏡を覗いている後ろ姿をお願いします.
ゾウは,どうやって双眼鏡を持つのか興味深々です.
さて,倒れの検査方法ですが,なるほど,平行器の1眼を双眼鏡から外すだけで,絶対測定ができるんですね.気が付きませんでした.
倒れの検知(測定)精度を上げる方法ですけど・・・・ないですねぇ.
2個のプリズムを通して,ゾウが回転して・・・いやいや,像が回転して出てくる光を,ぐるっと回して,もう一回プリズム群に入れて像の倒れを2倍にする方法を考えていたのですが,簡単ではありません.光を,ぐるっと回す光学メカニズムでもの倒れが発生するので,どっちが狂っているのか分からなくなるのです.
でも,まぁ,ピタリと一致すれば良いという測定器は,熟練によって凄く精度が上げられるものなので,そこが救いと思います.
むしろ,プリズムの回転を調整すると,視軸が狂い,視軸を直すと像が倒れるの繰り返しがつらいです.
mouse830
がしました
二重偏心とプリズムを別々に調整できるのを忘れてました.
私の話しは,二重偏芯の調整範囲を超えてずれてる双眼鏡があって,アルミ箔をプリズムに敷いて調整した時の話しがごっちゃになってました.失礼.
で,両目が平行になってないゾウの場合・・・・
ゾウは,まぁ,細かいことを言わず,双眼鏡を覗く時だけ目が前に向くことにしておけば良いと思います.
私が,ふと思ったことは「斜視」の障害者の方の事です.
少し目線が斜めっていても,両眼視ができる人は双眼鏡が使えますけど,両眼視できないくらいの斜視だと双眼鏡は意味が無いでしょうね.昔,斜視の天文学者の先生がいて,有名な方なんですが,やたらと双眼鏡を悪く言うので何でやろ? って思ったことがあります.(日中,茶色の眼鏡をしているので斜視と分からなかったです.)
なお,斜視の場合,視軸を曲げて平行に見えるようにする(たぶん色消し)プリズム眼鏡ってのが有るようです.実物は見たことがありませんが.
mouse830
がしました