ねずみが最近入手して
その性能に驚いた双眼鏡がある。

それがこちら。
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現行型のミクロン6×15CF 8°

現在のNikon双眼鏡のラインナップでは
ハイクラスコンパクトに分類されていて
フルマルチ化された光学系は極上で
そのコンパクトさからは想像出来ない
ような清々しい見え味なのだ。


いつものようにジャンク品を探して
5,000円程度のものを購入したのだが
入手時点では外観も綺麗で
特に問題があるようには見えなかった。
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対物レンズも傷ひとつない良い状態で

これぞニコンのマルチって感じの深緑。

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意外と状態のいい掘り出し物を
引いてしまったかな〜?と思って
外の景色を覗いてみたら・・・
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異常なまでのクモリで何も見えない。

・・・とまぁ5,000円も出して
全く景色の見えない双眼鏡を
購入してしまった訳で
普通の人は大失敗と思うんでしょうが
ねずみは逆にこの状況に
ワクワクしてしまうんですよね。

このミクロンの狭いプリズムカバーの
中で一体何が起きたらここまでの
クモリが発生するのだろうか?
これは調査する価値がありそう。


良くも悪くも分解が簡単な構造なので
早速カバーを外してみると
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なにやら黒いシート状のものが2枚
プリズムの斜面に乗っかっている。
何だこれは??

この黒いシートは樹脂製で
反射防止のためにカバー裏面に
接着されていたようだったが
変形して剥がれ落ちていた。

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樹脂がフニャフニャに変形しているのは
明らかに熱を受けた証拠なので

車のダッシュボードにでも放置されて
かなりの高温状態になったのでは
ないだろうかと推測する。


シートを貼り付けてい接着剤も
その熱で気化してプリズムを
曇らせてしまったのだろう。
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ねずみは以前、旧モデルの
ミクロンも整備したことがあるが
こんな黒いシートが使われているのは
見た事が無かった。

こちらが旧ミクロン整備中の様子。
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プリズムカバー裏側は全面艶消し黒に
塗装されていてあの黒シートは
使われていない。
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現行ミクロンはコストダウンのために

工数のかかる塗装工程を無くして
黒シートを接着する構造に
変更したのだろう。

また剥がれて悪さをするといけないので
黒シートは全て除去していつもの
光学用黒塗料で塗装しておいた。
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問題はプリズムのクモリの方で
プリズムを外して徹底クリーニング
したいところだけど

現行ミクロンはプリズムが
台座に
接着されていて外すことが
出来ないのだ。

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よくあるグレーのセメントでは無く
レンズを貼り合わせるときにつかう
UV硬化の接着剤のようなもので
ガッチリ貼り付けられているようで
手で押しても剥がれる気配が無い。


こうなると
プリズムが向かい合っている面は
拭くことが出来ないのだけど
幸いにもこの面は曇って無かったので
無理して剥がすことはせずに
外から拭ける面だけクリーニングした。

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しかし本体とプリズムが接着されて
いるって
ことはメーカーで
プリズム不具合の修理を行う場合
本体ごと交換してしまうのだろうか?
接着が多用されている最近の双眼鏡の
完全オーバーホールは難しい。。

対物レンズの方はクモリも無かったので
アッセンブリ状態のままクリーニング
して、そのまま組み直したら
視軸ズレも全く無く元に戻った。
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こんなに小さくても二重偏心環が
使われているので視軸の安定性は抜群
この辺りはさすがNikon。


整備を終えた現行ミクロンを
旧モデルのミクロンと比較してみる。
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こちら旧モデルと言っても初代では無く
1948年に復刻されたモデル。
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初代ミクロンは大正時代の製造で
ねずみはまだお目にかかったことが
無い。


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上が旧型で下が現行型
コーティングの色の違いが分かる。

外装の方は
右の現行型がチタンシルバーっぽい
銀色の塗装なのに対して
左の旧型はクロームメッキの
金属光沢で高級感がある。
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さらに旧型はフォーカスリングの前側が
テーパー形状になっていて
対物筒の
間に隙間なく収まっている。
対物レンズとフォーカス軸をつなぐ
ヒンジ部分も旧型の方が凝った作りで
こうやって見比べちゃうと
現行型のコストダウンを実感する。
決して安っぽくはないんだけどね。


外から見えないところにも
細かい違いがあって、例えば
旧型の方は対物筒が摺動する部分に
糸が巻きつけてある。
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この糸でグリスを保持しつつ
摺動部の隙間を埋めて
ある程度異物の侵入を防いでいるようだ。
これももちろん現行型では省かれている。


スペック上の違いとしては
旧型の方が実視界が0.3°広い。
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しかしアイレリーフがかなり短いので
目レンズにまつ毛を擦り付ける勢いで

眼球を近づけてやらないと
全ての視界を得ることは出来ない。

その点、現行型は裸眼・眼鏡どちらでも
対応出来るような絶妙なアイレリーフの
長さになっていて
無理して目を近づけ無くても
全視野を見渡すことが可能だ。
この辺もねずみが現行ミクロンを
オススメしたい理由の一つ。


クリーニングを終えた
現行型ミクロンで見た景色がこちら。

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フルマルチ特有のコントラスト強めの
白が強調された
色合いで
スッキリ清々しい見え味。
少し演出が入ってる感じはあるけど
不自然じゃなく上手くまとまっている。


旧ミクロンはこんな感じ。
写真で見ると僅かに
視界が広いのが分かる。

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こちらは暖色系のややレトロな着色で
これもまた雰囲気があっていいね。


と、ここまでミクロン6×15CFを
推してきたねずみだが
実はもう一つ紹介したい機種がある。


それがこちら。
ミクロン5×15 9.5°

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深い紫のコーティングが美しい。

5倍という低倍率のおかげで
明るくて手ブレも気にならず
アイレリーフも長くて覗きやすい。
さらに視野の着色がほとんど無くて
リアルな色彩を楽しむことが出来る。
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おまけに重量もこの3台の中で一番軽い。
参考に重量は実測で下記の通り
・現行型6×15: 134g
・旧型6×15: 172g
・5×15: 123g

そんな感じでほとんど弱点の無い
ミクロン5×15なのだけど
残念ながら現行のラインナップ
からは外れてしまっている。

状態の良い中古品もほとんど
流通していないと思われるので
実用品としてオススメ出来るのは
やっぱり6×15の現行型となる。

ちなみにねずみは
現行型の7×15はまだ見たことがない。
初代ミクロンを意識しているのか
ブラック塗装がカッコいいんだけど
見え味の方はどうなんだろう??
こちらもジャンク品を見つけたら
入手してみたい。


どこにでも持っていきたくなる
携帯性抜群のミクロン6×15

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サッとポケットから取り出したり
首からぶら下げて歩くのも
なかなかオシャレだと思う。

大正時代から100年間ほぼ変わらない

デザインなのに古めかしさを
感じないし光学性能も一級品。
カタチがそのまま機能を表していて
これぞ機能美。

今後もNikon双眼鏡の歴史を
象徴する存在として
ずっと残していって欲しいなぁ。

今回はノンコートの隠れた名作
ヘンゾルトのgrossfeldを
紹介しようと思う。
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ねずみはこのgrossfeldシリーズを
ノンコート双眼鏡の中では
leitzのBINUXITに並ぶトップクラスの
見え味だと思っている。


grossfeldは1930年後半から
1940年代前半にかけて
hensoldt wetzler社で作られた
オーソドックスなポロ双眼鏡。

6×24と8×24の倍率違いがあり
さらに年代によって
・前期型の胴体が太いタイプ
・中期型の胴体が細いタイプ
・後期型の軽量タイプ
が存在している。
これはシリアルNo.から判断して
ねずみが勝手に呼んでいるだけなので
参考程度で。

grossはドイツ語で大きいとか広い
の意味で、feldはフィールド。
ヘンゾルトの双眼鏡は用途に応じた
ネーミングが多いのでgrossfeldは
広大な景色を見渡すのに適した双眼鏡
つまり広視界ってことだと思う。

その名の通り視界はかなり広くて
1000m視界が6倍は160m、8倍は150m。
角度に直すと6倍はおおよそ9.1°
8倍は8.6°となる。
実視界8.6°ってデルトリンテムと同等で
覗いてみるとデルトリンテムよりは
まぁ若干狭い感じもするのだけど
ケルナー接眼にしてはかなり広い。


現在ねずみの手元にあるのは
前期型6×24、中期型8×24
後期型8×24 の3台
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なんで3台もあるのかってツッコミは
置いといて・・・

その中でも特に見え味が良いのは
前期型6×24の胴が太いモデルだ。
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おそらく軍用の6×24と同じ光学系で
圧倒的にシャープネスが高くて
物の輪郭がハッキリクッキリ見える。
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しかも最近のマルチ機にたまにある
エッジが強調されすぎて葉っぱの縁が
刃物みたいに見えるやつと違って
あくまで自然な輪郭線を保っている。

また見比べないと気付かないほどの
極僅かな水色の着色があって

それが余計にシャープネスを
高めている
ようにも思える。
この自然かつシャープな見え味は
他の双眼鏡では味わうことが出来ない。


中期型8×24の方も6×24に次ぐ
シャープネスの高さで
こちらは着色の一切無い
そのままの色を楽しむことが出来る。
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しかも胴体が細いおかげで
ダハのように片手で握りながら

ピント操作が出来てとても扱いやすい。

その反面、光学性能的には重大な
欠陥も抱えているのだが・・・

そちらは後で詳しく説明しようと思う。


後期型軽量タイプの8×24は
前期、中期とはほぼ別物で
部品が軽量素材に置き換えられており
実測348gと驚異的な軽さを誇っている。

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ツァイス・イェナの思想なのか
視軸調整機構はプリズムを動かすタイプ

から二重偏心環に変更されている。
アイピースも変更されており
どことなくツァイス・イェナっぽい
見え味になっているように思える。



ところで、ヘンゾルトっていうと
大抵の人は下の写真の角張ったロゴを
思い浮かべると思う。
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いや、、大抵の人はヘンゾルトなんて
知らないのでこれが思い浮かぶ人は
何かしらのマニアだと思う。


それに対してgrossfeldのロゴは
柔らかい線の筆記体。
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こちらが先に思い浮かんだ人は、
かなりのマニア、と言うか
もはや病気である可能性が高い。

この2つのロゴは同時期にも
存在していたようで、機種によって
使い分けていたと推測している。

ねずみは筆記体ロゴの方が
ゆるい感じがして気に入っている。


さて、ここからは胴体が細いタイプの
8×24を分解クリーニングしながら
構造を紹介していきたいと思う。


フォーカスリング周りの構造は
ツァイスと違って左の羽根が
ネジ2本で軸に固定されている。
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接眼筒との摺動部に
黒い布テープが巻かれているのも
この時代のヘンゾルトの特徴。
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水やホコリの侵入を防ぐ役目と
思われるのだけど内部はホコリだらけ
だったので
効果は疑問。
しかも一度剥がれてしまうと再接着が
難しく、
整備する上では厄介な構造だ。


接眼筒とフォーカス軸は真鍮製で
製造後70年以上経過しているはずなのに
錆びることも無く綺麗なままだ
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プリズムはほぼ隙間なく細い鏡体に
押し込められている。
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実はこのプリズムのサイズは
胴体が太いタイプも細いタイプも
ほとんど同じで、細いタイプは単に
部品どうしの隙間を詰めただけの
無理矢理な設計となっている。
(訂正:改めて分解した際に測定したところ、胴が太い方がプリズムの長手方向で4.5mmほど大きい物が使われていました。)


レンズもプリズムもホコリだらけ
だったけど、
クリーニングしたら
新品のような透明感を取り戻した。
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この時代のガラスは本当に綺麗で
現代のものより透き通って
見えるような気がしてしまう。



クリーニングを終えて組み上げた
grossfeld 8×24を覗いて見ると
あることに気付く。
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射出瞳のすぐ上に盛大な漏光が。。
目の位置がちょっとでも上にズレると
この光が直接目に入って眩しく
コントラスト低下とか以前の問題だ。


これが胴体が細いタイプの
致命的な欠点で、対物側のプリズムを
光路に接近させ過ぎた弊害なのか
対物レンズを通った光の一部が

プリズムの反射面に入ってしまうのだ。
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てか、この状態で何故プリズムカバーを
設定しなかったのか?謎なのだけど
無ければ作ってしまおう!ってことで
プリズムカバー製作に取り掛かかった。

厚さ0.3mmのアルミ板を
プリズムのサイズに切り出して
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折り曲げる。
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反射面にベッタリ接触しないように

両端を少し内側に曲げるのがコツ。

艶消し黒で塗装して完成

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これで余計な光はシャットアウト!
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迷光が無くなってやっと本来の性能を
発揮することが出来た8×24。
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眩しさもコントラストも改善した。
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この小さな写真では伝わらないけど
ほんとにクリアで自然な見え方をする。
初期のDIAGONみたいな中心に特化した
見え方では無く、周辺まで良く見えて
崩れ方も自然。


双眼鏡マニアの方々のレビューを
拝見するとノンコート双眼鏡では
カールツァイス・イェナの

デルトリンテム軽量非球面接眼モデル
通称リヒターモデルの評価が高いのは
ご存じの方も多いと思う。

一方でこのgrossfeldは
話題に登ることすらほぼ皆無である。
もちろん、
口径の違いもあって
明るさではリヒターに及ばないのだけど

解像度、シャープネス、歪曲の少なさ
においてはリヒター含め同時期の
ツァイス・イェナを上回っていると
ねずみは感じている。

・・・この時期のヘンゾルトに関しては

ネット上にもほとんど情報が無いので
全くもって分からないのだけど
ねずみの他にも同じような
感想を持っている人がいるのだろうか?


これらの双眼鏡に対して
ねずみと同じ感想の方や
異なる見解をお持ちの方がいたら
コメントいただけると嬉しいです!

「双眼鏡の視軸調整その3」
の記事を書いてから
もう1年も経ってしまったようだが
そろそろ続きを書いてみようと思う。

前回の記事はコチラ↓

http://mouse830.livedoor.blog/archives/10100337.html

これまで二重偏心環タイプの
視軸調整の方法について
詳しく紹介してきたが今回は
「視軸を中心軸に合わせる方法」を
紹介しようと思う。

文献等の情報が見つからないので
ここで紹介するほとんどは
ねずみが試行錯誤して独自に
たどり着いた方法である。
もっと正確な情報をご存知の方は
是非アドバイスお願いしたい。


まず中心軸とはなにか?
眼幅を合わせるために左右の鏡筒を
開閉する時の回転中心となる軸のことで
一軸式の場合は真ん中の軸を指す。
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タンクローとか二軸式のものは
この軸がないけど便宜上、真ん中に
仮想の中心軸があると考えれば良い。


そして
「視軸を中心軸に合わせる」とは
左右の視軸の向きを中心軸と
一致させること。
双眼鏡1

これは「双眼鏡の視軸調整その1」
の記事でも触れているけど↓
http://mouse830.livedoor.blog/archives/9859556.html

一つの眼幅で視軸を合わせた時。
つまり平行器1台で視軸を合わせた時
左右の視軸は平行になるが
中心軸と一致しているかは分からない。
例えばこんな感じで両方とも揃って
左にズレているなんてこともあり得る。
双眼鏡2
この状態でも視軸は合っているけど
眼幅を変えた時に視軸がズレる
という大きな問題が生じるのだ。

・・・と言っても
ピンと来ないかもしれない。

そこで
この現象を分かりやすくするために
こんなものを作ってみた。

名付けて「視軸見える君1号」
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双眼鏡の視軸を模式化したもので

矢印が左右の視軸の向きを表している。

例えば眼幅60mmの位置で
視軸を合わせた時、上の写真のように
左右とも左にズレていたとする。
(実際はどちらにズレているか
この時点では分からない)

この状態で眼幅70mmに広げると
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こうなる。
左の視軸が上にズレて
右の視軸は下にズレるのだ。

眼幅70mmの平行器を通して見た時の
視界はこうなる。
左の視界は上に動き
右の視界は下に動く。
(目標物の動きとは逆)
中心軸1


60mmで左右とも上にズレていた場合は
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70mmにするとこうなる。
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これは外方ズレの状態で
平行器を通した視界はこうなる。

中心軸2


もうお分かりだと思うが
眼幅60mmでも70mmでも
視軸が一致してる状態になれば
視軸と中心軸が一致したことになるのだ。


ねずみはこの調整をとても重視している。
眼幅を変えても視軸がズレないってのは
もちろんだけど
視軸が中心軸に合っているほうが
どちらかに偏っているよりも
見え味が良いような気がするからだ。

実際のところ
ねずみはこれを見分けるほどの
眼力をもっていないし
そんな気がするだけなのだけど。。

中心軸と視軸が一致してる状態が
一番ニュートラルな状態であって
その双眼鏡の性能が最大限
引き出されてるのでは?思っている。

ねずみがわざわざ眼幅違いの
平行器を作っているのも
この中心軸合わせのために他ならない。
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作業的には
60mmで視軸を合わせて
70mmで視軸を合わせて
また60mmで合わせて
70mmで合わせて・・・
を繰り返していけばいつかは
中心軸に合うことになるが
この方法では合うまでに
なかなか時間がかかる。

ねずみの場合は
基本的には眼幅60mmの状態だけで
この調整を行なっている。
手順としては
まず60mmで視軸を合わせてから
70mmにした時のズレ方を確認する。

ここで「視軸見える君」を使って
60mmの時の視軸が
どっちにズレていたのか?を推定する。
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例えば60mmの時の視軸が
左右とも左にズレていると分かれば
60mmの状態で視軸を少し右に
動かしてみて
70mmでのズレの変化を確認する。
足りなければもう少し右にずらして・・
を繰り返す。
そして70mmにしても視軸がズレない
状態になったところで、最後に
自分の眼幅と同じ64mmの平行器で
精密調整して完了。と言った感じ。

今のところ
このやり方が一番効率が良いのだけど
もっと良い方法をご存知の方は
是非教えて欲しい。


これまでいろいろな双眼鏡の修理記録や レビュー記事なんかも書いて来たけど
何故かこの視軸調整の記事が
一番アクセス数が多い。

いったいどこに需要があるのか
分からないのだけど、、
多くの方が読んでくれているようなので
今後もこのネタは続けて行きたいと思う。


次回は内方ズレ?外方ズレ?
どこを狙って視軸調整するのが良いか。
市販の双眼鏡はどこを狙ってるのか?
その辺りについて書いてみようと思う。

いつになるかはわかりませんが
お楽しみに。

今回はPENTAXタンクローの弟分
タンクローminiで遊んでみた話。
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このロボット的な顔が可愛いですよね。


普通のタンクローよりひと回り小さくて
その割になかなかよく見えるので
ねずみはよくカバンに忍ばせて
持ち歩いている。
倍率のバリエーションが多いのも特徴で
見え味を比べてみたくなって
倍率違いで4台揃えてしまった。

最近の双眼鏡は8倍と10倍に
落ち着いてしまったものが多いが
このタンクローminiは
7、8、9、10と1倍ずつ
刻んでるところが面白い。
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いったいどんな用途を想定したら
このラインナップになるのだろうか?
このクラスの双眼鏡を購入する層が
7倍と8倍の違いにこだわるとも
思えないし。。


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ちなみにこちらは
タンクローminiの遺伝子を受け継いだ
現行機種のUP8×21
実勢価格6,000円程度で入手可能なうえ
光学性能もなかなか良いので
初めて双眼鏡を買う人にねずみが
一番オススメしたい機種。



タンクローminiの方はすでに廃盤なので
中古で入手するしか無いのだけど
なかなか程度の良いものに
当たることは無い。
視軸なんかほぼ確実にズレているので
普通は手を出さない方がいいと思う。

今回ねずみが入手したのは
もちろんハズレですよ。。
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ホコリやら曇りやらで真っ白。

どうせハズレなら遊んでみよう!
と言うことで前から試したかった
アレをやってみることにした

まず分解。
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構造はタンクローとほぼ同じ。

粘土の高いグリスがいろんなところに
使われていて、手に着くとベタベタが
取れないのでゴム手袋などを付けて
作業した方が良い。

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プリズムは全体的に曇っているので
バラしてクリーニングを行う。
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今回は接眼レンズもバラしてみた。
こちらは7倍モデルのもの
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ガラスレンズとプラスチックレンズが
組み合わされた構成になっていて
プラスチックレンズには
非球面っぽい面もある。
これがどんな役割を果たしているのか
詳しくはわからないのだけど
なかなか凝ったレンズ構成に見える。

まずはいつものようにこれらの部品を
クリーニングしていくのだが
本題はその後、
今回やってみたかったアレとは
レンズ・プリズムのコバ塗りと
鏡筒内面の黒艶消し塗装なのだ!


以前、平行器にやったことがあって
これがなかなか効果があったので
双眼鏡でも試したいと思ってたけど
なかなか試せる双眼鏡がなくて
出来なかった。

あんまり歴史ある双眼鏡の
仕様を変えちゃうのは気がひけるけど
タンクローminiならいいかなと。

こちらが塗装後。

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プリズム押さえ金具から
カバー裏側まで全部塗った。

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塗装前との比較
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塗装有無の違いを見るために
片側は塗装なしのクリーニングのみで
組んでみることにした。

プリズム組み上げ後に対物側から
見たところ。

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向かって左が塗装後。
キラキラしたネジの頭も全部黒くして
ここまでやれば完璧!

こちらは接眼側から見たところで
右側が黒塗りした方

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射出瞳周辺の余計な光が
激減していることが分かる。
きっとコントラストも向上して
抜群の見え味に変貌していることだろう。

んで、いざ景色を見てみると〜

こちらがクリーニングだけの方
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こちらが黒塗りした方。
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ん?なんか違うかな??
判別出来る違いは視野環の外で
光ってる部分が無くなったことぐらい。

肝心のコントラストは・・・
微妙に良くなったかなぁ?
視野の端の方は改善してるような?
ん〜あんまり分からん。

やっぱり製品状態ですでに
最適に仕上げられているようで
コバ塗り追加したくらいで劇的に
良くなるなんて事は無いようだ。

鏡筒内が真っ黒なのは
気持ちいいんですけどね。

9倍の方もフルで塗装してみたけど

やっぱり期待したほどの効果は無かった。
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・・・今回はちょっと微妙な結果に
終わってしまったのだけど
多少改善する部分もあるようなので
手頃な双眼鏡があれば
また試してみたいと思う。



続いてタンクローminiの
倍率違い4モデルの特徴を
ざっと紹介してみる。
この4モデルは単なる倍率違いでは無く
視界の広さにも違いがある。

実視界で比較すると
・7倍モデル: 8°

・8倍モデル: 6.2°

・9倍モデル: 6.3°
・10倍モデル: 5°

旧規格の見掛け視界で比較すると
・7倍モデル: 7×8=56°
・8倍モデル: 8×6.2=49.6°

・9倍モデル: 9×6.3=56.7°
・10倍モデル: 10×5=50°

つまり7倍と9倍だけ視界が広いのだ。
この2機種だけプレミアム仕様なのか?


見え味についても
ねずみの感想を列挙すると
・7倍モデル
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着色が少なく視界も広く、明るさも十分
周辺部は適度な崩れがあって
ビンテージ双眼鏡っぽい
味のある見え方をする。
着色が少ないのはコーティング面が
少ないせいかも知れない。


・8倍モデル
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全体的に赤っぽい着色がある。
やや視界が狭めだが歪みは少なくて
可もなく不可もなくって感じ。


・9倍モデル
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ねずみ的には4モデル中で最も
高級な見え方をするように感じる。
視界が広いのに周辺の歪みも少なく
倍率もそこそこ高いので迫力もある。
重量が軽いおかげか手ブレも許容範囲で
これぞベストバランス。


・10倍モデル
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視界が狭いのが気になる、
それにアイレリーフが短すぎて
まつ毛がレンズに押し付けられるのが
気になってまともに見ていられない。。
これはちょっと無しかな。


ちなみに9倍にはプリズムの直後に

分厚いレンズが入ってたんだけど
フラットナーレンズなのだろうか?
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(2022.05.23写真追加)
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8倍よりも若干コストかかってそうな
感じを受ける。
このレンズは9倍だけに付いているが
レンズを取り付けるためのネジ穴は
他の機種にも設けられていて
最初からこれを追加できるように
考えられていたようだ。


ねずみがこのラインナップの中で2種類
残すとしたら迷わず7倍と9倍を選ぶ。
しかし現行機種で淘汰されずに
残っているのは8倍と10倍なのは
何故だろう。
コスト的なことなのだろうか?
理由は分からないけど
ねずみ的にはかなり残念
9倍一本でも良かったと思うんだけどね。

低価格で小型軽量
子供に使わせるにもちょうどいい

タンクローminiと後継のUP8×21。

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同じ価格帯では使い物にならないような
ダハ型が多い中で、ちゃんとした
光学性能を確保している貴重なモデル。


このモデルはずっと残して欲しいと思う
そしていつか9倍の復活を期待したい!
その時はもちろんフルマルチでね。



(2022.5.23追記)
4機種の接眼レンズを比較してみました。
接眼レンズを変えることで
倍率を変えているのでしょうか?
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4機種とも目レンズの径と
表面の曲率が違います。

8、9、10倍はアイピースの長さが
順に短くなっているように見えますが
一番短いのは7倍です。
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10倍のアイレリーフが極端に短いことは
見口のゴムの短さでわかりますね。


対物レンズの方はコーティングの
色味が微妙に違うくらいしか
わかりませんでした。
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四角いライトの映り込みが
若干違って見えますが
主にライトとの位置関係によるものです。

タンクローminiは一体どうやって
同じボディで4つの倍率違いを
作り出しているのでしょう?
そしてこのバリエーション展開に
どのような意味があったのか?

こればかりは設計者に聞いてみないと
分からないのかもしれません。

mikron8×30 8.5WFの整備をしてから
すっかりNikon好きになってしまった
ねずみが今回紹介するのはこちら。
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Nikon8×30シリーズの原型となった

Mikron8×30
後期型モデル

中古市場でもほとんど見かけない
レアな双眼鏡である。


以前紹介した
前期型のMikron8×30 8.5°WF↓
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http://mouse830.livedoor.blog/archives/12692069.html
こちらもレアな双眼鏡。


後期型は形が大きく変わって
胴が短いお馴染みのNikon8×30Aの
スタイルになっているけど
スペックは前期型と同じ。
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シリアルナンバーから推測するに
後期型って事でいいと思うんだけど
情報が無くて正確な販売時期は
分からなかった。


8×30Aとは見た目そっくりで
NikonとMikronの字体も似てるので
パッと見全く同じに見える。

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ねずみもこの外観に騙されて
中身も8×30Aと同じだろうと思って
整備を始めたら、開けてビックリ。

8×30Aとはほぼ全ての部品が異なる、
言ってみれば8×30Aのスペシャル仕様
のような双眼鏡だったのだ。


どんな違いがあるのかは
分解しながら説明していこうと思う。

まず大きな違いとして
フォーカスリングのダイヤル部分の
構造が異なっていて
ねずみが入手した個体はこのダイヤルが
空転してピント調整不可な状態だった。
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このダイヤルはデルトリンテムや
Mikron前期、8×30Aもほぼ同じ構造で

ダイヤルに付いたイモネジを
3方向から
締め込んで固定する構造になっている。
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イモネジ先端が軸に付いている
円盤の外周に噛み込むので
ダイヤルが空転することも少なく
精密ドライバーがあれば簡単に
調整や増し締めも出来る便利な構造だ。

ところがMikron後期型には
異なる構造が採用されている。

こちらが分解した
mikron後期型のフォーカスリング
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断面図で比較するとこんな感じ。
左側が一般的な構造で、右がMikron。
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Mikronには円盤とイモネジが無くて
軸センターのナットを締め込むことで
軸とダイヤルのテーパ面を密着させて
その摩擦力だけで固定している。

このナットが少しでも緩めば摩擦面が
滑ってダイヤルが空転してしまい
しかも、特殊工具がないと
増し締めすら出来ないと言う
不親切な仕様なのだ。

実はZEISSのオーバーコッヘンモデルも
似たような構造になっていて↓
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Mikron後期型はこれを

真似したものだと思われるが
不具合が起きやすかったのか
コストダウンのためか?
8×30Aではイモネジ式に戻されている。


最初にイマイチなところを
紹介してしまったが他の部分は
どこをとっても8×30Aより
コストのかかったスペシャルな作りに
なっている。

とりわけ際立った違いは
気密、防水性を高めるため各部に
設けられたシール構造だ。

まず鏡体カバーと対物レンズ枠の
合わせ部分にゴムパッキンが
付けられている。

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そしてその裏側には
シール
面圧を確保するための
バックアップリングが設定されている。
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さらには鏡体とカバーの合わせ面に
ZEISS JENAによく見られるような
シール剤が塗布されている。
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極め付けは2重偏心環にまでゴムの
Oリングシールが付けられている
と言う徹底ぶり。
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これらのシール部材は
後の8×30Aでは全て廃止されている。

この徹底した気密性向上も
ZEISSのオーバーコッヘンモデルを
強く意識したものであると
ねずみは推測している。

オーバーコッヘンは鏡体とカバーの間に
ゴムパッキンが設けられていたり
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接眼レンズの可動部に
ゴムブーツまで付けられているという

この年代のセンターフォーカスの
ポロ双眼鏡としては過剰なまでの
気密・防水設計が特徴だ。
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mikron8×30後期型はゴムブーツこそ
付いていないものの
この年代の日本製ポロとしては
最高レベルの気密設計だと思う。

その気密設計が幸いしてか
プリズムには全くカビが無かったのだが
そのかわり結構な曇りが出ていた。
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カビは無いけど曇りが多い傾向は
オーバーコッヘンモデルも同じで
気密性の高い双眼鏡は
グリスから揮発した油分が内部に
こもってしまって
曇りやすいのではないかと思う。


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今回もプリズムに傷を付けないよう
細心の注意を払ってクリーニングした。
カビが無かったおかげで新品同様の
透明感に戻った。


ミクロン8×30後期型には
プリズムの固定方法にも特徴がある。

下の写真のようにプリズムの横に
薄い金具がねじ止めされていて
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この金具をプリズム側面に押し当てて
プリズムの位置を固定している。
この構造はとっても便利で
像の倒れを調整した後にこの金具を
プリズムに押し当てて締めてやれば
ズレる心配が無い。

そして、なんとこの構造も
オーバーコッヘンと同じなのだ。
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オーバーコッヘンが1954年に登場し
Nikon8×30Aの方は1959年。
このMikron後期型は8×30Aの直前に
製造されていたと考えると
ニコンはZEISSオーバーコッヘンを
ベンチマークとしてMikron後期型を
開発したと思われる。
そして、そのコストダウン版が
8×30Aということになりそうだ。


コストダウンされてしまった
8×30Aに対してMikron8×30後期型には
他にも優れた点があるのだけど
中でもねずみが一番気に入ってるのは
各パーツの仕上げがとっても
上質なところ。
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8×30Aはカバーの縁に角が立っているが
Mikronは角が丸く仕上げられていて
明らかに塗装の艶も良い。
ついでに貼り革のシボも細かくて
上品で手触りが良い。


さらにMikron後期型が凄いのは
8×30Aに対して部品点数が
多いにも関わらず実測17gも軽いのだ。
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おそらく対物レンズ枠等に使われている
金色の部品は軽量なマグネシウム製で
8×30Aではコストダウンでアルミに
置き換えられているのだと思う。

それでもMikron前期型と比べると
18gも重くなってるのだけど
IMG_8823
これはプリズムが大きくなったことが
かなり影響している。

一見、胴が長い前期型の方が
重そうに見えるけど
後期型は胴を短くするために
対物レンズとプリズムの距離を
近づけたせいでプリズムを
大きくしなければならず
逆に重くなってしまったようだ。


Mikron後期型と8×30A
最後の違いは見え味。
光学設計は同じだと思うんだけど
コーティングの違いなのか
見え味の方向性がまるで違う。

8×30Aは暖色系の着色があって
線が太めでコントラスト重視の
華やかコッテリ系。
IMG_8751


Mikronのほうは着色がかなり少なく
コントラスト抑え気味の
あっさりさっぱり系なのだ。
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線は細くてシャープに見えるんだけど
コントラストが低いせいか
遠近感が掴みにくく、平面的に見える。
この辺はオーバーコッヘンを
真似しきれなかったところかな?



・・・そんな感じでNikon8×30兄弟を
4台も集めてしまったねずみ。
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これでもまだ全種類ではなくて
8×30Aと8×30Eの間には
マイナーチェンジモデルも存在するし
現行機種である8×30EⅡも
ねずみはまだ覗いたことがない。

いつか全種類揃えて
覗き比べしてみたいな〜〜
なんて思ってるけど、、
いったい何台集めれば
気が済むんでしょうね?

自分でもよくわかりません^ ^;

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